2015 Fiscal Year Research-status Report
乳児院における心理コンサルテーション:最早期の関係性支援に着目した萌芽的研究
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15K13137
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
青木 紀久代 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 准教授 (10254129)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 乳児院 / 愛着 / 関係性 / コンサルテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の第一の目的は、乳児院における、乳児のアタッチメント形成について、縦断的な観察を行い、その特徴を検討することである。定型発達との異同を明らかにし、特に、心理職が、乳児の発達経過に即した里親や職員に対する適切なコンサルテーションを行うための基礎的なデータを収集していく。乳児院の養育環境のさらなる改善に役立つような成果を得ていくことが目指される。 研究初年度となる平成27年度の実績は以下の通りである。
①観察指標の検討:アタッチメントの形成までの過程をとらえるため、Spitz, R.やAinsworth, M.、Bowlby, J.を中心とした代表的なアタッチメントの理論書から、観察された乳児のアタッチメント行動の指標を連携研究者と共に、検討した。②観察シートの作成:これをもとに、研究協力者である施設の職員が、対象児の観察記録を作成するための項目を選出し、独自の観察シートを作成した。③乳児院での観察および研究の打ち合わせ:北海道、神奈川県、福岡県の各3施設へ、通算15回の訪問を行った。乳児院関係者からの養育環境に関するヒアリングと、対象児の養育場面の観察を行い、実際の撮影場面や方法について、詳しい確認を行った。④観察データの収集:各月毎に、対象児を中心とする養育場面の観察を収集した。観察場面は、授乳、遊び、抱っこなど複数から成り、観察資料として使用可能な場面を精査した。⑤愛着研究全般について、臨床的な研究の文献を収集して、臨床的な研究課題を整理した。⑥施設心理職を対象とした研修会:北海道と神奈川県の2つの研究協力院で、施設心理職を対象に、乳幼児のアタッチメント形成をより良くするための研修会を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」に記載した通り、研究目的に従いながら研究を進めてきた。実践研究の研究遂行上の特性から、対象児の入所時期のずれや、急な退所など、当初にリスクとして想定された事態が生じており、これらについては、実施計画を適宜修正しつつ研究を進めている。 昨年度は、学内の研究倫理審査を申請し、無事承諾を得た後、乳児院への研究協力の正式に依頼した。その間、文献収集と理論書を検討しながら、これまでの観察経験から得られた指標も含めた検討や、アタッチメント研究の臨床心理学的な動向について、基本的な整理を行うことができた。 また、北海道、神奈川県、福岡県の3施設各1名ずつ研究対象児を決定し、データ収集を開始できた。 実践的な還元を重視しながらの観察研究となるため、北海道と神奈川県の2つの研究協力院で、施設心理職を対象にアタッチメント理論についての研修会を実施したが、福岡県ではまだ開催に至っておらず、来年度の課題とした。 以上の諸点を鑑みて、上記の評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、各乳児院へ縦断的観察を引き続き依頼する。観察終了時には、AQSにてアタッチメントの質を測定する。データの分析を行い、観察指標の変化を質的に捉えていく予定である。さらに、養育日誌を収集し、テキスト分析を行い、観察データとの照合や、養育者がどのように発達を捉えているのかを検討する。 また、収集したデータをもとに、前年度行った施設心理職員を対象にアタッチメント理論についての研修会を引き続き実施する予定である。 さらに、一部の経過的な結果を成果発表する予定である。
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Research Products
(8 results)
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[Presentation] 情動調律と共感2015
Author(s)
青木紀久代
Organizer
第15回日本音楽療法学会学術大会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(札幌)
Year and Date
2015-09-11 – 2015-09-13
Invited
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