2016 Fiscal Year Research-status Report
身体的相互刺激によるリラクセーション効果の生起機序の解明
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15K13138
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高瀬 弘樹 信州大学, 学術研究院人文科学系, 准教授 (60345725)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | タッチ / リラクセーション / 呼吸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は,タッチによるリラクセーションの生起機序を解明することである。したがって,リラクセーション効果のあるタッチ刺激を特定することが,本研究の中で重要な課題の一つである。H28年度は,H27年度に構築した実験システム(タッチ刺激装置,データ集録システム)を用い,リラクセーション効果が生じる圧刺激の動作パターンの特定を目指し,予備的な実験を行った。具体的には,タッチ刺激を提示する身体部位,タッチ刺激の種類(周期的な触圧刺激で,正弦波,矩形波,三角波,のこぎり波),タッチ刺激の周期を検討した。タッチ刺激の種類として正弦波が指圧マッサージの動きに近いと考えられ腹部に刺激提示したが,PVCアクチュエータをベースとしたタッチ刺激装置の刺激動作振幅が小さいため,弾力性の高い腹部では実験参加者はタッチ刺激を十分に知覚することができなかった。矩形波およびのこぎり波のタッチ刺激は腹部でも十分に知覚することができたが,リラクセーション効果および呼吸の引き込み現象は生起しなかった。一方,同様のタッチ刺激を腰部に提示したときには,正弦波のタッチ刺激も十分に知覚することができ,リラクセーション効果も得られた。また,タッチ刺激の運動と腹部呼吸運動の位相関係に着目したところ,ある一定の範囲の位相差のときにリラクセーション効果が多く認められることが示唆された。H29年度は,これらについて実証実験を行い,タッチによるリラクセーションの生成機序について検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H28年度は,タッチ刺激装置を用いてどのようなタッチ刺激がリラクセーション効果を持つか検討し,一定の効果を持つと思われるタッチ刺激パターンを特定することができた。 しかし,その特定には多くの時間がかかり,当初予定していた本実験の実施が遅れていることから,順調に進展しているとは言えないため,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
H29年度は,H28年度の予備的研究で得られたリラクセーション効果を有する可能性のあるタッチ刺激について実験を行い検証する。実験の結果から,「タッチする側とされる側の相互刺激」を要因とする,タッチのリラクセーション効果の生起機序に関する新たな視点からの定量的知見を導く。これらの研究成果を論文としてまとめ,健康心理学系の学会誌をはじめ国内外の学会誌に投稿する。
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Causes of Carryover |
当初計画で予定していた実験が実施されなかったため,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額は平成29年度請求額と合わせて,主に消耗品費として使用する予定である。
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