2015 Fiscal Year Research-status Report
不妊治療カウンセリングと不妊治療教育の臨床心理学的研究
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15K13145
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 健太郎 九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 教授 (70389229)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | チーム医療 / 不妊治療の心理教育 / 夫婦面接 |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊治療(生殖医療)パイオニアであるオーストラリアのパースの生殖医療センターを訪問し、生殖コーディネーター・看護師・カウンセラーの面接調査と施設調査を行った。オーストラリアにおいては、ホームドクター制度が整っており、ホームドクターの紹介で生殖医療センターの受診が可能となる。カウンセラーが面接を行い、不妊治療の説明と同意を得た後に、夫婦共に不妊の原因を探るために検査を行う。検査は生殖医療コーディネーターが進めるが、必要に応じて、カウンセリングを行う。チーム医療が進んでおり、日本でも医師・生殖コーディネーター・看護師・臨床心理士等、各専門職がチーム医療を整備していくことが求められる。 不妊治療を行っている女性のカウンセリングを本人の了解を得て、隔週で電話にて実施している。さらに、産婦人科において、夫婦面接を行っている。 不妊治療の要因は、女性4割・男性4割、不明2割であるが、不妊治療を先に行うのは、女性である。調査・カウンセリングを通して、現段階で示唆される知見としては、夫婦で最初から不妊治療に向き合っていく意識とシステムが必要であること、また、男性に原因がある場合、男性としてのアイデンティティが喪失され、うつ病のリスクが一定程度考えられる。さらに、年齢と経済的要因の中で、葛藤する夫婦が多いことである。 不妊治療をする側の医師・看護師・不妊治療カウンセラーの面接調査では、不妊の要因・不妊治療やストレスマネジメント等の心理教育の必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の生殖医療の状況を、産婦人科医・生殖医療コーディネーター・看護師に面接調査を行うことができた。オーストラリアのパースでの生殖施設の調査と生殖医療コーディネーター・看護師・カウンセラーの面接調査を行い、日本の生殖医療との比較をすることができた。また、不妊治療のクライアントとの面接を行っている。在外の方から、事例研究に協力してもらい、研究を進めることになった。
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Strategy for Future Research Activity |
不妊カウンセリングを行っている不妊カウンセラーの実態・意識調査を行うともに、不妊治療教育を行っている専門機関・大学などの訪問調査及び、不妊治療プログラムの先行研究を分析し、大学生対象の不妊治療教育プログラムの開発を行う。 不妊カウンセラーのカウンセリング技術の研修を通して、クライアントのニーズと、クライアントをサポートするためには、何が必要であるのかの考察を行いたい。 また、継続中の不妊治療のカウンセリングの事例研究を深めていきたい。
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