2017 Fiscal Year Research-status Report
乳児における匂い刺激の親近化による食べ物の好みの制御:匂い付き絵本を用いて
Project/Area Number |
15K13162
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
金沢 創 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (80337691)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 乳児 / 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、嗅覚刺激の曝露による親近化によって、食べ物の好みが変化するかどうかを発達的に検討する。好きな食べ物と嫌いな食べ物の匂いを対象に、これを親近化させることで好みの変化を見る。食べ物の好みは、嗅覚刺激を用いた選好注視や養育者への質問紙などにより総合的に検討する。これらのアプローチにより、食べ物の好き嫌いをコントールすることをめざしていく。乳児を対象とした知覚実験については多くの国際誌への成果を得ることができ、嗅覚実験に関しても実験が進行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在まで、嗅覚の実験的検討を総合的に実施するにあたり、嗅覚と視覚の統合過程に関する検討を行ってきた。また、大人で用いられている嗅覚検査キットを、幼児で実施する形態にモディファイした絵カードを作成し実験を行った。実験では、そもそもの絵カードで説明されている対象が幼児にとって既知のものであるが未知のものであるかを検討する必要がある。このベースとなるデータを集めつつ、嗅覚実験時のデータとの比較により、対象に対する知識はあるものの、匂いだけは推定できない、という事態を観察できる。これらのベースにより、食べ物どうしの匂いは混同しやすいことや、未知の匂いは認識できないことなどが明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き知嗅覚統合の実験を進めていく。また、より初期の発達を検討する目的で言語獲得前ではあるが2足歩行可能な段階の乳幼児に対しても選好注視法による実験も実施する。また、発達段階の完成形として、上記乳幼児における視嗅覚統合過程と比較する目的で、青年期における嗅覚と視覚情報の統合過程も検討する。このデータについては、すでにfNIRSによるデータは取得されているが、より詳細な情報処理過程も検討していく。
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Causes of Carryover |
本計画は、嗅覚と視覚の連合課程の発達を検討することが最終的な目的であるが、この目標を遂行するにあたり、刺激の選定および刺激の呈示時間のパラメータ設定の試行錯誤に手間取り、実験データの収集に遅延が発生したため。特に嗅覚刺激については、第一に濃度のパラメータの設定が難しく、視覚との組み合わせにおいて、適切に注視を引き起こす刺激を決定するプロセスに時間がかかったことが遅延を招いた。これらの使用については、主に刺激作成および実験遂行に関わるポスドクの雇用にその費用を見込んでいる。
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