2015 Fiscal Year Research-status Report
比較授業分析によるペダゴジカル・コレクトネスの解明と構築
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15K13189
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
サルカルアラニ モハメドレザ 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 准教授 (30535696)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 正朗 愛知文教大学, 人文学部, 講師 (40738217)
坂本 篤史 福島大学, 人間発達文化学類, 准教授 (30632137)
柴田 好章 名古屋大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70293272)
渡部 竜也 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (10401449)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ペダゴジー / ペダゴジカル・コレクトネス / 授業の文化的スクリプト / 比較授業分析 / 授業研究 / 授業分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
ここまでの研究では、比較授業分析によってそれを考察する道筋を示した。前述した通り、Lasley(1993)はペダゴジカル・コレクトネスの概念を批判している。それに代わる概念としては、プロフェッショナル・コレクトネスを提示している。すなわち、ペダゴジカル・コレクトネスが教師の科学的な判断を阻害し、ドグマとして「正しい」とされていることを過度に単純化して実践に適用されようとしていることを戒めている。ここまでの本研究でも、プロフェッショナル・コレクトネスを重視する立場には変わらないが、Lasley(1993)が、ペダゴジカルなるものを、いつでもどこでも変わらず通用するテクニックのような硬直したものとして捉え批判したのに対し、本研究では、ペダゴジーを文化的相対性の中で捉え直し、専門職である教師の高度な判断や、研究者の議論の過程の中で生まれ変容する動的な概念として捉えている。このような視野から、ペダゴジーを捉え直しながら、比較授業分析を通してペダゴジカル・コレクトネスを明らかにしていくことを本年度の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究を計画通り実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
比較授業分析については、海外(シンガポール・韓国)の学校で研究授業を実施し、研究データを収集する。比較授業分析によって明らかになった各国(地域)のティーチング・スクリプトを、その固有性や差異を生む状況(situation)を考慮しつつ一般化し、文化を越えて参照可能な知見を導出する。比較授業分析の知見をペダゴジーの観点から一般化し、教育の思想と方法(批判的教授法を含む)の文化的基底の様相を解明する。また、比較授業分析によって明らかになるティーチング・ティーチングスクリプトをもとにして、文化の固有性や差異を重視しつつ、文化を越えて参照可能な知見(cross cultural leaning)を導出する。その際には、授業観・学力観、教授学・教授法、教授技術、教師観(心象・価値観)という視点を設定して、議論を焦点化しつつ、授業を多面的に考察する。
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Causes of Carryover |
研究分担者は予定してあった研究図書の注文、購入が遅くなったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
外国の研究図書の購入を計画している。
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