2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13190
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
志村 聡子 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (50406609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三田谷啓 / 家庭教育 / 母親教育 / 障害児教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】1920~30年代の日本で「家庭教育の振興」を掲げて母親の養育責任が唱えられ、母親への接近が図られたことが知られている。一方、当時は、一部の学校・施設において、障害児教育の取り組みが模索されつつあったことも明らかになっている。障害児の養育環境としての母親も見出された時期でもあったと考えられるが、「家庭教育」と「障害児教育」の両分野をつなぐ「障害児のための家庭教育」についての研究は手つかずとなっている。 本研究では、両分野において著名な三田谷啓(1882-1962、三田谷治療教育院を設立)に焦点をあてる。彼が障害児を育てる母親たちに向けて発信した「障害児のための家庭教育論」を明らかにし、「障害児のための家庭教育」をめぐる思想史研究に先鞭をつけたい。
【平成27年度研究実績の概要】行った作業は、以下の通りである。①三田谷による論稿(単行本・雑誌掲載論文)を収集した。②三田谷に関連する先行研究を収集し、研究動向をとらえた。③三田谷治療教育院や関連施設に関する資料・先行研究を収集した。④関連すると思われる分野の研究書を収集した。
以上のうち、①と③は主要な作業であるが、まだ十分な資料収集となっていないため、今後も継続する。しかし、作業と分析の過程を通して、「障害児のための家庭教育」に関する思潮は、戦後にも広げて検討する必要をとらえるに至った。また、海外(特にアメリカ)での動向と日本への影響もとらえていく必要を見出すに至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料収集の状況としては、やや遅れていると評価せざるを得ない。
資料収集の作業のイメージとしては、以下の通りである。①復刻版として出版されているものを把握する。②①の所在を把握するか、可能であれば購入をする。③諸機関に所蔵の復刻版を閲覧し、複写する。④復刻されていない資料の所在を把握し、資料を閲覧の上収集(複写)する。 ④が主要な作業でかつ重労働であるが、まだ具体的な作業に進めていない。その理由として、作業が①~③の段階にとどまったことがあげられる。
しかし、これまでの作業から、新たな着想を得ることができているので、それは大きな成果であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、やや遅れている資料収集に尽力する。収集の対象として、1920~30年代を念頭においていたが、戦中戦後に広げて収集をしていく必要がある。また、同年代アメリカにおける「障害児のための家庭教育」の動向についても把握したい。当初の予定とは異なる作業となるが、これも研究の過程で得た着想に基づくものであり、ある意味成果といえる。 次年度の研究成果の公開に向けて、着実に作業を積み重ねたい。
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