2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13190
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Research Institution | Rissho University |
Principal Investigator |
志村 聡子 立正大学, 社会福祉学部, 准教授 (50406609)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 三田谷啓 / 母の会 / 『母と子』 / 三田谷治療教育院 |
Outline of Annual Research Achievements |
三田谷啓と彼が設立した三田谷治療教育院について、広く資料を収集した。三田谷は、日本児童協会を設立し、その機関誌発行にも尽力した。機関誌はその名称を『日本児童協会時報』『育児雑誌』『母と子』と変更を重ねた。当該年度は、これらの雑誌すべての所在を明らかにし、すべてに目を通す作業を行った(戦後については、着手できなかった)。 機関誌のうち、『日本児童協会時報』と『育児雑誌』については復刻版が出版されており、それについては購入できた。『母と子』については、各地の図書館に出向いて閲覧複写を行った。その過程で、『母と子』と誌名を変更してから、三田谷は「母の会」の組織化に尽力し、各地で組織化される「母の会」の動向が同誌に適宜掲載されていたことがわかった。「大阪母の会」「甲陽母の会」の組織化を皮切りに、関西地方を中心に「母の会」が多数組織化され、三田谷の意向を汲む形で展開されていたことがわかった。 三田谷が指導した「母の会」の展開について唯一言及した先行研究は、駒松仁子『シリーズ福祉に生きる40 三田谷啓』(2001年)である。駒松によれば、三田谷が指導した「母の会」の数は39にのぼるとされる(125頁)。報告者も同様の知見を得ている。駒松はその詳細について論じていない。今後は、それら「母の会」の動向とともに、その担い手(母親たち)の属性等についても明らかにし、成果を公開したい。 また、『母と子』を閲覧する過程で、三田谷治療教育院に併置された翠ヶ丘尋常小学校の動向ないし教育内容についても関心を持つに至った。今後は、その点についても分析したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
三田谷研究において、雑誌『日本児童協会時報』『育児雑誌』『母と子』に目を通すことは重要な作業であると考えられるが、そうした作業を行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
雑誌『母と子』の戦後の出版状況について把握し、現存するものについて閲覧する。
「母の会」に関連する資料を整理分析する。紙資料の量が膨大となるため、適宜ファイルを購入して整理しているが、スキャナーで読み込み、電子化した資料を活用することも行う。
所属学会において、学会発表をめざす。そうした機会を得て、研究が推進するよう努力する。
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Causes of Carryover |
消耗品の購入において、安価なものを購入した結果、使用額を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今後は、使用状況を細かく把握して進める。
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