2016 Fiscal Year Research-status Report
西アフリカの口承と体験的学びの分析に基づく教育観の再構築
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15K13200
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山田 肖子 名古屋大学, 国際開発研究科, 教授 (90377143)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
服部 美奈 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 教授 (30298442)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 伝統知 / 暗黙知 / 技能形成 / 口承文化 / 比較国際教育学 / アフリカ研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者の研究の主な対象地域であるアフリカにおいて、伝統社会の教育観や、技能・ 知識習得のあり方を解き明かすことにより、この20 年ほどの間に爆発的に普及した学校教育が、アフリカ社会に元からある学びの考え方や実践とどのように整合し、または不整合を起こしているかを検討することを目的とする。また、そうしたアフリカ社会での広義の教育と学校教育の関係や社会的、教育的意味を問うことを通じて、近代ヨーロッパの時代的、文化的コンテクストの中で形成され、その基本的枠組みを基に発展してきた教育学を、視点を変えて考察することも目指す。 2年目である28年度は、ガーナ国クマシの伝統的産業集積地で徒弟のライフヒストリーの聞き取りを継続するとともに、クマシを中心に、ガーナ国中部から南部にかけて広く分布するアサンテ族の口承の民族史の聞き取りを開始した。 また、エチオピア国アジスアベバでも職業教育課程を経て就業した若者の追跡調査を行った。また、彼らの技能生成過程を知るため、ガーナにおいては、機械工、電機工、溶接工の工場各2 か所ずつ、エチオピアでは縫製工場2ヶ所で、新入り、1年目、2 年目の徒弟、徒弟頭につき、技能レベルと日常の作業、技能を身に付ける過程を参与観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定したとおり、伝統的徒弟制度の実態を解明するための参与観察、インタビューを行うことができた。また、口承の民族史の聞き取りも開始した。さらに、ガーナで開始した参与観察、インタビューと同様の調査をエチオピアでも着手した。
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Strategy for Future Research Activity |
徒弟制度の聞き取り及び参与観察を継続する。 また、今年度は2か村でしか実施できなかった口承の歴史の聞き取りを30か村まで拡大して実施する。ガーナのことわざや物語に関しては、言語学者、物語収集家などによっ て集積されたものが存在するので、それらを基礎に、村を回った際に聞き取りをし、新しいものがあった場合には追加することとする。また、衣服に用いられるシンボルなども収集する。
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