2015 Fiscal Year Research-status Report
現代南アジアのイスラーム教育機関マドラサによって創出されるムスリムネスの研究
Project/Area Number |
15K13206
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日下部 達哉 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (70534072)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 現代南アジア / イスラーム教育 / 無認可マドラサ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、南アジア諸国におけるイスラーム教育機関であるマドラサが日々、創り出し、発信している「ムスリムネス(ムスリムらしさ、あるべきムスリムの姿)」に関し、調査・研究するものである。現段階では、断片的に明らかになったにすぎないマドラサの果たしている役割を総合的に捉え、誰に、何を、どうやって教育し、どこへむけて発信しようとしているのか、を明らかにし、多種多様な側面を持つマドラサの機能を活写することを目指している。 本研究では、「宗教教育機関の多面的機能研究」という新しいアプローチを採用、教育機能を中心とする、政治機能、経済機能などの多面的機能とその連関を調査することを目的としている。 研究初年度である平成27年度は、バングラデシュにおけるマドラサ調査を実施した。調査内容は、①教育的機能、②社会的機能、③政治的機能について申請者が作成した調査票を用いて行い、また、マドラサ近隣で子どもをマドラサに通わせる村人がいれば、その理由や重要性を聞いたり、地方の政治家へのインタビュ-なども行った。さらに宗教教育関連資料収集、教育内容や学位授与を司るマドラサ協会、政府の教育関連統計を収集・分析しているバングラデシュ教育統計局、ユネスコ等国際機関の有する教育関連資料のうち、宗教教育関連資料について渉猟、必要に応じて購入した。 これら初年度における研究実績は、データ分析を施したのち、平成28年6月に開催される日本比較教育学会(大阪大学)におけるラウンドテーブル「ポストグローバル化期イスラーム教育の地域展開」の中でバングラデシュのケーススタディとして発表される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度予定していたバングラデシュマドラサのインタビューデータ、関連資料収集を実施し、本研究の着想からフレームワーク構築、第一回の調査結果について概ね予定通りに推移した。また、二年度目の早い時期である平成28年6月に日本比較教育学会での発表にこぎつけることができるなど、研究には明らかな進展が見られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は8-2月にかけて、バングラデシュ・インド両国をそれぞれ3週間程度ずつ訪れ、前年度に収集したラマダン(断食)期におけるイードの大祭、ワズ・マフィル(マドラサ文化祭)などの開催時期の情報をもとに、教育・社会・政治機能において、実際に行われている宗教行事に参加しつつ観察調査を行う。また、教師、生徒等へのインタビュ-も行う。
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Causes of Carryover |
データ分析の基礎として、大学院生をアルバイト雇用し、入力作業をさせる予定であったが、時期を調整した結果、翌年度以降が適切であることになったため。また、雇用時に使用する消耗品(トナー)についても同時に繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、大学院生によるアルバイトを雇用し、データ入力作業を行う。また、その際使用する消耗品を購入する。
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Research Products
(11 results)