2017 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Muslimness created by Islamic educational institution, Madrasa in Contemporary South Asia
Project/Area Number |
15K13206
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
日下部 達哉 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 准教授 (70534072)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ムスリムネス / 無認可マドラサ / 南アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、南アジア諸国におけるイスラーム教育機関であるマドラサが日々、創り出し、発信している「ムスリムネス(ムスリムらしさ、あるべきムスリムの姿)」に関し、調査・研究するものであり、宗教教育機関であるマドラサの果たしている役割を総合的に捉え、教育機能を中心とする、政治機能、経済機能などの多面的機能とその連関を調査することを目的とした。 研究期間中、南アジアのイスラーム国家であるバングラデシュ、また1億2000万人以上のムスリムを抱えるインドに渡航し、各国の無認可とされるマドラサを調査した。当初、先鋭化した事例のみのイメージが流布されていくことに歯止めをかけるため、「マドラサが現代社会において、いかなるムスリムを育成しようとしているのか」、また「そのあるべきムスリムの姿(ムスリムネス)とは何か」という二つの問いを掲げていたが、調査より明らかになったのは、宗教教育機関を標榜しながらも、近代部門の強化をし、英語、また大規模なマドラサではITスキルを育成しようとするところさえあり、「グローバル化した南アジア社会において活躍できることに加え、真に宗教を理解するムスリム」を育成しようとしていることが明らかになった。また、ムスリムネスのポータルサイト、ワズ・マフィルといったウラマーの演説会などで、一般の人々に対しても平易に理解できるように呼び掛けたり、漫画を活用したりして、「ムスリムとしての規律を守り、死後の世界の準備をする」という、いわば真っ当なムスリムのあり方に加え、そのことを適切に他人にも伝えることができるようなムスリムネスを涵養しようとしている動きがみられた。 これらの研究成果は、研究開始から下記業績報告3本を加え、最終的に論文5本、書籍2冊、学会発表9本、国際共同研究2本という研究実績に結実している。
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Research Products
(3 results)