2015 Fiscal Year Research-status Report
会計犯罪の撲滅に向けたケーススタディメソッドの確立
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15K13215
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
齋藤 雅子 大阪産業大学, 経営学部, 准教授 (00434788)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 会計教育 / 不正 / 国際会計 / グローバル |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度(平成27年度)の活動実績では、当初の研究計画に従い、グローバル企業による会計不正の事例研究を行った。世界で発覚した過去の会計不正を洗い出すための資料・文献収集を含め、個々の会計犯罪の特徴や巧妙化・複雑化する手口や方法を整理することに注力した。 当該研究遂行にあたり、アメリカ研究協力者の協力を得ながら適宜研究打ち合わせを実施し、効果的かつ効率的に活動を進めた結果、初年度における研究成果として、2本の執筆論文(英文、和文の各1点)をまとめることができた。アメリカ研究者と共同で取り組んだ英文論文では、国際資本市場において深刻な影響を及ぼしたグローバル企業4社(アメリカ、日本、ヨーロッパおよび中国)の会計不正を各事例ごとに考察した上で、その特徴を比較検討している。同論文は、国際ジャーナルの査読審査を通過し、掲載が確定している。また研究代表者が単著でとりまとめた和文論文は、文化的なちがいが会計不正を生じさせる影響について、倫理観の醸成プロセスと会計教育の関係性から理論的に考察したものであり、学会誌への投稿をすでに完了している。 初年度の研究活動を通じて得られた点は、主に次の3点である。まず第一に、グローバル企業の会計不正にはすべての事例で監査人の機能不全が存在していた。第二に、株式市場を意識するあまり、経営者が短期的な業績目標達成に固執し過ぎていた。そして第三に、各事例がビジネス形態の基礎となる地域や文化などの影響を色濃く受けていた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い、事例研究を中心に研究活動を遂行できている。その根拠となるのは、研究活動を着実に遂行した結果としてまとめた2つの成果である。1点は、アメリカ研究協力者と共同により進めた国際共同研究の成果としての共著論文である。もう1点は、本研究代表者が行った丹念な先行研究を土台とする倫理醸成プロセスと会計教育の関係を理論的に考察した単著論文である。広く成果を公表するため、両論文を国内外のジャーナルへすでに投稿しており、そのうち前者は査読審査を経て掲載が決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年度(平成28年度)は「現状分析」をテーマに、会計犯罪の背後にある外部監査人(公認会計士)の監査システムと高等教育における倫理教育の問題点を整理していきたいと考えている。またアジア諸国の研究者らに協力を要請し、会計不正教育の実態に関する教育的実験を行う計画がある。研究遂行にあたっては、丹念な文献渉猟を基礎とし、調査遂行に向け国内および複数の海外からの研究協力を得る準備を整えている。
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