2015 Fiscal Year Research-status Report
日本の成人の読解力と数的思考力が世界一であることの理由の解明
Project/Area Number |
15K13217
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Research Institution | National Institute for Educational Policy Research |
Principal Investigator |
吉岡 亮衛 国立教育政策研究所, 研究企画開発部教育研究情報推進室, 総括研究官 (40200951)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 教育社会学 / 科学教育 / PIAAC / PISA |
Outline of Annual Research Achievements |
研究の初年度として、今年度はまず初めに調査用紙の作成を行った。PIAACの調査問題は、読解力問題、数的思考力問題とも5題公開されている。このうち読解力問題の2題は紙での調査ができない形式であるため採用をあきらめ、読解力3題、数的思考力5題を採用した。同様にPISAの公開問題の中から、難易度レベルを考慮して異なるレベルの問題を、読解力3題(小問6題)と数学的リテラシー4題(小問7題)を採用し、それぞれ読解力調査用冊子、数的思考力調査用冊子を作成した。その後予備的な調査を試行した。当初は2分野を1冊の調査用冊子で実施することを予定していたが、学校の授業時間が1校時50分前後であることから、2分冊として1冊を1校時で実施できるように配慮した。 中学3年生を対象とした調査の試行結果から、予定通りの分析が可能であると判断された。中学3年生であってもPIAAC問題のほとんどを正解しており、PISA問題もかなりの割合で正答していた。その後は本調査に移行することとして、調査協力校を募って調査を開始した。 昨年夏の日本科学教育学会年会で研究の目的およびデザインについて発表しピアレビューを受けたところ、参加者からの興味と賛同を受けることができ、調査実施についても協力を得られる見通しができたことは発表の成果であった。 当初は、多国間(ドイツと韓国)での比較分析を行う計画であったが、PIAACの二次データ分析を行ったところ、各国のスキル習熟度の度合いは様々な背景情報が複雑に関係した結果であることが分かってきた。そのため限られた研究期間では子どもたちの背景情報を調査する質問項目を整備することは不可能と判断し、本研究では国内の学年(年齢)間での差異に注目し、サンプル数を充実させることで結果の妥当性を高める方向に研究方針を変更することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通りに調査問題を完成させ、予備調査による検証を行った。研究所内の倫理委員会による調査の承認も完了し、現在本調査への参加協力校を募っており、研究は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
概要でも触れた通り、多国間の比較を行う当初計画を変更し、国内における学年間の差異に注目してサンプル数を充実させ、妥当性のある結果を導くことを目指すこととした。 具体的には中学校1年生から高校1年生までの各学年に対して、読解力と数的思考力のサンプル数を各200を目標にデータを収集することとする。
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Causes of Carryover |
今年度内に海外調査も含めたすべての調査を完了させる予定であったが、調査問題の検討に時間を要したため、調査ができたのは国内1校のみであった。それゆえ今年度予定していた調査を次年度に実施するために、そのための費用を繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内での調査を拡大して実施するための調査用冊子(概ね1,600部)の印刷、調査のための学校協力謝金、通信運搬費、データ入力経費、およびデータ分析経費が必要となる。 また、研究成果発表のための旅費、とりまとめた研究成果の公開のための経費とする予定である。
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