2016 Fiscal Year Research-status Report
保健体育科教員を養成及び育成する一貫した教育プログラムの検討
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15K13220
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
三田部 勇 筑波大学, 体育系, 准教授 (00709230)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教員養成 / 教員採用 / 教員育成 / 一貫したプログラム / 教員採用選考試験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、保健体育科における教員採用選考試験の動向を把握するとともに、正規採用され実際に学校現場に勤務している本学出身の学生を追跡調査することで、学び続ける保健体育科教員の養成及び育成についての一貫した教育プログラムについて提案する者である。平成28年度においては、この目的を達成するために次の2点について、検討、研究を進めた。 1「教員採用選考試験の内容について、保健体育科に特化して調査・分析する」について、平成27年度に続いて、「教員採用試験対策シリーズ・保健体育科」の47都道府県の専門教養(保健体育)の試験問題を調査対象とし、受験区分が高等学校及び中学校対象の問題の各設問を、意味のまとまった設問ごとに区切り、KJ法を用いて分類した。これについては、前年度との傾向は変わらず、学習指導要領及び運動種目に関する知識についての問題が多くを占め、学校現場ですぐに求められる「評価」や「安全管理」といった内容については出題が少ない傾向にあることが分かった。しかし、「運動の苦手な生徒への対応」等の指導方法に関する出題を行う自治体が見られるようになったことが窺えた。 2「学校現場で求められる力と、大学で学んできた内容とのギャップについて検討する」について、教員採用試験に合格して学校現場に出た、高等学校教諭2名、中学校教諭3名についてインタビュー調査を行った。中学校教諭の1名は採用3年目で、他の4名は採用2年目の教諭であり、新採から現在を振り返る形でインタビュー調査を行った。すべての教諭に共通している、学校現場に出た際困難に感じることは、「見通しが持てない」「運動について努力を要する生徒への指導」であることを確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教員採用試験の問題収集については順調に行われており、4年分の収集を行うことができた。ただ、2年分のカテゴリー分けは終了しているが、その他は分類、考察までは至っていない。 保健体育科教員として採用された卒業生とコンタクトをとり、インタビュー調査を行うことができたが、インタビュー調査の音声データを文字化し、質的分析を行うまでに至っているデータと、そうでないデータがある。また、研究対象者が、部活動顧問、クラス担任、学校行事の担当など公務分掌の対応により、インタビュー自体がキャンセルになるなど、日程調整に困難さが見られた。 I県の中学校及び高等学校の体育主任研修会において、保健体育科教員として必要な資質・能力についての質問紙調査を行う予定であったが、スケジュールの調整が合わず、実施することができなかった。 各都道府県教育委員会における、保健体育科教員に対する研修の状況については、質問紙の作成及び発出の準備は整っているが、その発送及び回収については平成29年度に先送りになるため、やや遅れていると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
各都道府県教育委員会で実施されている教員採用選考試験問題については、複数年分収集はできているので、継続してその内容をカテゴリーに分類し、経年変化について分析・考察していく。その中で、インタビュー調査において、採用された教諭が学校現場に出た際に困難だと感じている事項との関連についても考察を加える。 保健体育科教員としてして採用された卒業生とコンタクトをとり、継続してインタビュー調査を行う。新規採用者に限らず、校務に支障をきたさない教員にアポイントをとり、1年目を振り返る形でのインタビュー調査を行う。 I県に協力を依頼し、年度末に行われる体育主任研修会ではなく、夏季休業中に行われる学校体育実技指導者講習会において、新規採用教員として学校現場に出る際に身に付けておいてほしい資質・能力について自由記述の調査を行うこととする。 47都道府県に、保健体育科教員に対する研修の状況について質問紙調査を送付し、統計処理を行う。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査の対象者である保健体育科の教員との日程調整ができず、インタビュー調査を見合わせることがあったため旅費の支出が少なかった。また、インタビュー調査の対象者が、大学の所在地である茨城県の教員であったため、旅費の支出が少なかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査を行う対象者として、先方の校務に支障のない範囲でできるだけ多くの卒業生と連絡を取り、日程調整を行うとともに、確実なデータ収集を行うための旅費として使用する。併せて、そのデータを文字化、分析ソフトへ入力する補助者の雇用ならびに、I県中学校・高等学校教員への質問紙調査のデータ収集、分析ソフトへ入力する補助者の雇用経費に充当する。
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Research Products
(2 results)