2016 Fiscal Year Research-status Report
教職大学における学修の成果としての報告書にみる教科教育学研究の現状と課題
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15K13227
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
松本 伸示 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (70165893)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 教職大学院 / 教科教育学 / 学修の成果としての報告書 / フィンランド / 教員の資質能力 / テキストマイニング |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は、前年度収集した北海道教育大学、上越教育大学、東京学芸大学、山梨大学、兵庫教育大学に加え、宮城教育大学、群馬教育大学、山梨大学、山形大学、福井大学、早稲田大学、鳴門教育大学、宮崎教育大学の計13校の教職大学院の報告書を収集することができた。また、フィンランドのヘルシンキ大学、ユバスキュラ大学については現地訪問を行い、教育学研究科の修士論文を収集するとともに、院生、修了生、受け入れ先の小学校、中学校の校長からもインタビュー調査を行った。 前年度と平成28年度の一部の教職大学院の報告書(7大学院785編の報告書)については日本教科教育学会(10月開催)において分析した結果を報告した。分析手法については、佐藤裕(1989)の「教科教育学の構想」をもとにしたカテゴリー分類とテキストマイニング法による構造分析を行った。 それらの結果から、教科を形成する認識様式にかかわらず「教授-学習論に関する報告書」が多いことが明らかとなった。さらに、「教科」を対象としない報告書については「社会要請」や「個別要請」のものが多くなっていた。また,どちらにおいても「最先端科学分野・総合人間科学」に該当する報告書はほとんど見当たらなかった。テキストマイニングの分析からは、4割近い報告書が「授業」や「教科」をキーワードとすることが認められた。また、それらの報告書は「学習」「指導」「実践」「活動」などのキーワードと結びつき、それぞれの教職大学院で特徴的な構造をしていることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度に収集した教職大学院の学修の成果としての報告書に加えて、現地調査により8つの教職大学院の報告書を収集することができた。また、年度末になってしまったがフィンランドで現地調査を行い、膨大な修士論文の資料を入手することができた。 加えて、主に初年度に収集した報告書については計画通りにカテゴリー分析とテキストマイニングによる構造分析を行い、学会報告を行うことができた。 ただ、フィンランドの修士論文については収集の段階でとどまっており、分析するところまでは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
27,28年度に収集することができなかった教職大学院の報告書についても、さらに収集を行っていく。これらを加えた形で最終的な報告書の分析を行っていく予定である。 さらに28年度に収集したフィンランドの修士論文の分析を行い、日本のものと比較することで、日本の教職大学院の特徴を明らかにしていく予定である。
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Causes of Carryover |
国内において計画していた報告書の現地調査の幾つかについて、本年度、実施することができなかったこと、さらに、フィンランドの現地調査が年度末ぎりぎりになってしまい、データの整理、分析補助のアルバイト代が残ってしまったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度までに現地調査できなかった教職大学院、特に、福岡教育大学、京都教育大学については次年度実施する予定である。また、フィンランドの修士論文の資料についてはアルバイトを雇い、データの整理、分析の補助を依頼する予定である。
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Research Products
(2 results)