2016 Fiscal Year Research-status Report
発達障害のある児童生徒への健康相談における合理的配慮
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15K13243
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
古川 恵美 畿央大学, 教育学部, 准教授 (20636732)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 啓子 畿央大学, 教育学部, 教授 (10382300)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 合理的配慮 / 健康相談 / 発達障害 / 養護教諭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「発達障害のある児童生徒への健康相談における合理的配慮」についての具体的な提案を行うことを目的としている。学校における合理的配慮とは、対象となる子ども一人一人の障害の状態や教育的ニーズ等に応じて決定され一律の基準があるものではない。健康相談における合理的配慮についても一律の判断基準はない。養護教諭と関係教職員による健康相談や保健指導が充実していくためには合理的配慮の実現を視野に入れた健康相談に関する研究が必要である。平成28年度は、合理的配慮の観点を踏まえた健康相談における支援の事例を収集・分析することを計画した。インタビュー調査を行うにあたり、事前調査を実施したところ、合理的配慮についてまだ理解が深まっておらず、具体例のあげ方がわからないという意見が多くあった。そのため、平成28年度は、以下の研究1と研究2を実施した。 研究1:合理的配慮について、教職員が「もっと詳しく知りたい、勉強したいと思う内容」を明確にすることを目的とした。本研究については、「発達障害のある児童生徒への健康相談における合理的配慮に関する検討」日本健康相談活動学会第13回学術集会(埼玉)抄録集 76頁(2017)で報告した。教員は合理的配慮に関して、[具体的な内容]、[事例]、[保護者の気持ち]、[子どもの気持ち]、[合理的配慮と合意形成の関係]を深く学びたいと考えていることが明らかになった。 研究2:健康相談における合理的配慮について養護教諭の観点を明らかにすることを目的とした。本研究については、「養護教諭がとらえる健康相談における合理的配慮~発達障害のある児童生徒への心理面・健康面の合理的配慮の観点から~」第64回(平成29年度)日本小児保健協会学術集会で発表予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
養護教諭に対する面接調査の基礎資料とするために質問紙調査を行なった。その結果、発達障害のある児童生徒への健康相談の中で、困難になりやすい場面や状況について養護教諭自身が理解し、その際に必要となる支援について周囲の児童生徒にも説明していた人は53.3%であった。この支援は、文部科学省が推奨する合理的配慮の観点〈適切な人間関係を構築するため、集団におけるコミュニケーションについて配慮するとともに、他の幼児児童生徒が障害について理解を深めることができるようにする〉に当てはまる。しかしこの観点自体を対象者は知らないままで実施していたことが明らかになった。平成29年度に実施予定であるエスノグラフィー調査において重要な観点であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の研究成果として、養護教諭は合理的配慮を行なっているにもかかわらず、教員や養護教諭本人が、合理的配慮の観点を理解していないことが明らかとなった。平成29年度は、養護教諭が行なっている合理的配慮について面接調査ではなく、エスノグラフィー調査で明らかにすることとする。 さらに、保護者との合意形成の視点を明らかにするために保護者への面接調査を行うこととする。
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Causes of Carryover |
研究補助員に対して交通費は支給したが、謝金はなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究協力者の学会発表に際しての旅費とする
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