2015 Fiscal Year Research-status Report
高等教育における障がい学生を対象とした試験時間延長の不公平を是正する基礎的研究
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15K13254
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Research Institution | Hiroshima International University |
Principal Investigator |
坊岡 正之 広島国際大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (90352012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥 英久 神戸学院大学, 総合リハビリテーション学部, 教授 (30248207)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 障害学生支援 / 試験時間延長 |
Outline of Annual Research Achievements |
社会福祉・心理・教育系大学208校を対象に、障がい学生に対する試験時の配慮内容について調査を行った。その結果66校から回答を得た(回答率31.7%)。回答者の属性は、教育系15校(22.7%)、事務系40校(60.6%)、障害学生支援11校(16.7%)であった。 大学としての具体的な取組については、「配慮を行っている」28校、「配慮の必要がない」29校、「個別に検討する」6校、「内容については非公開」3校であった。試験時間延長を受けている学生数は、合計78名で、障害内容別では、上肢20名(25.6%)、下肢4名(5.1%)、体幹13名(16.7%)、視覚障害24名(30.8%)、聴覚0名、発達障害2名(2.6%)、内部障害1名(1.3%)、その他14名(17.9%)であった。また、障害がある学生においても、試験時間延長等の配慮を必要としない学生数は、522名で、その内訳は、上肢30名(5.7%)、下肢33名(6.3%)、体幹19名(3.6%)、視覚障害9名(1.7%)、聴覚87名(16.7%)、発達障害153名(29.3%)、内部障害63名(12.1%)、その他128名(24.5%)であった。配慮を必要としない理由の多くは、「本人からの要請・希望がない」または、「学内委員会等の判断で必要性が認められなかった」で、あった。 試験時間延長の具体的方法は、18~30分の延長や1.2~2倍と様々であり、これら配慮内容の決定については、科目担当者が設定する場合や、大学センター試験の「受験上の配慮案内」を参考にしているとのことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度は、障害学生に対する試験時間延長の現状について、アンケート調査を実施した。回答を得た66校で、試験時間延長等の支援を受けている学生78名の具体的な支援内容について情報を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、広島国際大学に在籍する障がい学生の協力を得て、模擬的な試験状況を設定して、問題読み取りと解答の操作を行わせて基本データを収集する。さらに同内容の実験を障がいのない学生に対して実施し、比較のための参照データを収集する。これら両実験から得られたデータを比較し、適切な試験時間延長についての基礎資料とする。 基礎データの収集のために、本来の計画では、単位時間あたりの問題読み取り速度を記録するシステムを外注する予定であったが、現有するノートパソコンの音声認識ソフトの活用により十分なデータ収集が可能であるため、読み取り文字数を記録するシステムを外注する必要がなくなった。
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Causes of Carryover |
当初予定していた他大学への訪問調査を、日帰り出張としてため旅費に残額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
計測用データ記録用ICメモリーや、画像保存用のsdカード等の消耗品購入費に流用する予定である。
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