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2016 Fiscal Year Research-status Report

強磁性薄膜中におけるスカーミオン観測の研究

Research Project

Project/Area Number 15K13272
Research InstitutionGifu University

Principal Investigator

山田 啓介  岐阜大学, 工学部, 助教 (50721792)

Project Period (FY) 2015-04-01 – 2018-03-31
Keywordsスカーミオン / 強磁性体薄膜
Outline of Annual Research Achievements

当該年度の「研究の目的」は、外場(電流/電界)によるスカーミオンの動作を調べることにあった。また、スカーミオンの生成・消滅方法を確立し、外場によるスカーミオンの輸送方法を調べることであった。この計画では、実験的に観測を行い、得られた実験結果と数値シミュレーションの結果を比較し考察を行う予定であった。しかしながら、昨年度、実験的にスカーミオンを観測することが難しかったため、今年度は数値シミュレーションを用いてスカーミオンの生成・消滅条件を調べた。その結果、Co/Ni薄膜におけるスカーミオン生成・消滅の最適条件の物質パラメータが明らかになり、さらにその条件下でメモリ応用を考えた際の最適な物質パラメータもわかった。これらの成果は、国内と国際学会でそれぞれ発表し、また論文としてJapan Journal of Applied Physicsに発表した。
この研究に関連のある成果を以下に述べる。スカーミオンにおける磁化構造は、トポロジカルな磁化構造の性質を持っているため、電流に対してトポロジカルホール効果が作用する系である。そのトポロジカルホール効果は、内部の磁化構造によって誘起される内部磁場が電子に作用することで発生する。このスカーミオンの構造で生じるトポロジカルホール効果を強磁性細線を十字(クロス)型構造にし、クロス内の磁化構造を変化させることで、トポロジカルホール効果の大きさを変化させることができることを数値シミュレーションにより示した。この結果は、Applied Physics Lettersに研究論文として発表した。この成果は、十分に研究目的を到達するために有益な情報となる研究である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は、実験的にスカーミオンの観測を行うことであったが、昨年度の結果より強磁性膜の出来が芳しく、実験目的に沿った研究を行うことが継続困難なため、数値シミュレーションによりスカーミオン生成・消滅の最適条件を調べた。その成果は、論文として発表することができた。この点に関しては、研究の進捗状況として”おおむね順調に進展している”と評価ができる。また、”研究業績の概要”にも記載した通り、スカーミオンの観測のために有益な情報となるトポロジカルホール効果の大きさが磁化構造の違いにより異なることを調べた研究も行った。この成果も論文として発表をしているため、研究の進捗状況として”おおむね順調に進展している”と評価した。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究の推進方策としては、実験的にスカーミオン観測を行うことは、現在の研究実施状況から困難なため、スカーミオンに作用する効果を調べる研究を行う予定である。(1)スカーミオンに作用しているジャロシンスキー・守谷相互作用(DMI)に関連した研究を行う、(2)スカーミオン構造内に発生するトポロジカルホール効果の研究を継続して行っていく。各研究における具体的な内容について以下に述べる。

(1) DMI効果は、強磁性体と非磁性体の界面で発現する。その効果は、界面において磁化にねじれを与える。この大きさは、DMI定数と呼ばれる物質パラメータとして与えられている。この物質パラメータは、磁気異方性と強く相関があるため、磁気異方性を調べることはDMI効果を調べる上で重要な研究となる。(1)の研究では、強磁性体の多結晶Niを単結晶LiNiO3基板上に作製し、単結晶基板に由来したNi内の誘導磁気異方性を調べる。この効果をSPring-8のXMCD-PEEMを用いた直接観察と異方性磁気抵抗効果に由来した電気抵抗変化を調べることで明らかにする。この研究は実験と数値シミュレーションの両方で行う。この研究を通して、界面におけるDMI効果について調べ、磁化のねじれを明らかにしていく。

(2)DMI効果が働く、クロス型構造を持つ系でトポロジカルホール効果の大きさを求めることで、DMIとトポロジカルホール効果の相関を調べることができる。この研究は数値シミュレーションを用いて行う。数値シミュレーションを用いて相関を調べることで、実験で測定するための設計を行う。

Causes of Carryover

年度末に使用した旅費の支出額計算が間に合わず、残りの経費の残額が分からなかったため、使用できなかった。

Expenditure Plan for Carryover Budget

実験、計算を遂行するための物品費として活用する。

  • Research Products

    (4 results)

All 2017 2016

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Acknowledgement Compliant: 2 results) Presentation (2 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results)

  • [Journal Article] Electrical detection of magnetic states in crossed nanowires using the topological Hall effect2017

    • Author(s)
      Kenji Tanabe, Keisuke Yamada
    • Journal Title

      Applied Physics Letters

      Volume: 110 Pages: 132405

    • DOI

      http://dx.doi.org/10.1063/1.4979322

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Journal Article] Examination of the stability of skyrmion structures in perpendicularly-magnetized Co/Ni films2017

    • Author(s)
      Keisuke Yamada, Shigeru Hozumi, Yoshinobu Nakatani
    • Journal Title

      Japanese Journal of Applied Physics

      Volume: 56 Pages: 印刷中

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] Co/Ni多層膜におけるスカーミオン構造の安定性の検討2017

    • Author(s)
      穂積 繁, 山田 啓介, 仲谷 栄伸
    • Organizer
      第72回年次大会 日本物理学会
    • Place of Presentation
      日本、大阪大学
    • Year and Date
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [Presentation] Examination of stability of skyrmions structure in Co/Ni multilayer films2016

    • Author(s)
      S. Hozumi, K. Yamada, and Y. Nakatani
    • Organizer
      ICAUMS 2016
    • Place of Presentation
      台湾、台南
    • Year and Date
      2016-08-01 – 2016-08-05
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2018-01-16  

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