2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノ相関形成その場観察による超強磁性流体状態の検証と解明
Project/Area Number |
15K13278
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
間宮 広明 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 先端的共通技術部門, 主幹研究員 (30354351)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 超強磁性 / 磁性流体 / 磁性ナノ粒子 / 小角散乱 / 熱分解法 / 環境磁気フィルタ |
Outline of Annual Research Achievements |
現在,米国を中心に「脳活動を計測し機械を直接制御する」というブレインマシンインターフェイスBMI」が現実味を帯びつつあるが,臨床的な利用を超え社会で用いられるようになるには非侵襲・非接触のインターフェイスが必須であり,シルードルームを必要としないウエアラブル脳磁計はその要である.本研究では,従来法では困難な粒径20nmクラスの均一な酸化鉄ナノ粒子磁性流体を合成する方法を開発し,それらの粒子の位置の自由度,空間配置,配向や密度揺らぎと粒子間の磁気的協力現象の相関を,高透過力小角X線散乱を用いた極超低周波磁場中流体内部のナノ相関形成その場観察や極低周波磁化特性計測技術を用いて調べる.そして,これらの結果をシミュレーション結果等と照らし合わせ,理論の予測する超強磁性流体状態を確認しその発現のメカニズムに迫まることで,ウエアラブル脳磁計に必要な液体極超低周波環境磁気フィルタの可能性を示す. 初年度である本年度は,オレイン酸とオレイルアミンを用いた無溶媒熱分解法により,これまで作製が難しかった粒径15-20nmの酸化鉄ナノ粒子をサイズを制御して合成することができた.また,小角X線散乱装置の改造では,極超低周波電源を入手しソフトフェライトを用いた磁場その場印加装置を組んだ.一方,超強磁性の解明では,液体での実験の予備研究として固体に分散し強く結合した磁性ナノ粒子についてその磁気相関と遅い磁気応答が乱れた超強磁性として解釈できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
溶媒への分散性に問題が残るものの目的のサイズの酸化鉄ナノ粒子を合成できた.また,小角X線散乱装置内部での極超低周波磁場発生の準備を進捗し,さらに,超強磁性に関する解析も進んでいるので,全体としては概ね順調に進展していると自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には順調に進捗しているので,当初計画通り,熱分解法による大粒径磁性ナノ粒子の合成,小角散乱を用いた流体内部相関計測,及び超強磁性発現機構の解明を着実に進める.
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Causes of Carryover |
極超低周波電源が物質・材料研究機構内で調達できたため,使用額が減少した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
大粒径の磁性ナノ粒子の溶媒への分散性等に関し,国際会議等で情報収集する必要が新たに生じたため,これに充てる計画である.
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