2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13283
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北浦 良 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (50394903)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 原子層物質 / 金属 / 化学気相成長法 / 分子線エピタキシー法 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度はバルクでは超伝導性を示すことが知られている層状物質NbSe2、NbS2に着目し、単層NbSe2、単層NbS2の成長法の確立を目的に進めた。単層のNbSe2およびNbS2を成長するため、新たに分子線エピタキシー(MBE)法を導入した。このために、Kセルおよび電子銃エバポレーターを備えたMBEチャンバーを建設し、ビームフラックスの計測と制御、基板温度の計測、真空まわりの整備、などを行い、安定運転をするための基盤構築を行った。また、CVD法においても安定して原料を供給するために原料供給法を変更など、より再現性の高い成長が行うための検討を行った。 上記の結果、MEB法を用いて単層のNbSe2を成長させることに成功した。成長したNbSe2は1~3層程度であり条件をコントロールすることで単層を主生成物とすることに成功した。グレインサイズは最大で数百ナノメートル程度であったが、直線のファセットが成長した結晶性の高い試料の作製に成功した。また、CVD法においても単層のNbS2を成長することに成功した。こちらは単層が主生成物とはならなかったが、グレインサイズは数ミクロンに達した。これまでにCVD法による単層のNbS2の成長は報告されておらず、世界初である。2端子デバイスを作製して電気伝導度を測定したところ、30 K以上の領域では温度の低下に比例して電気抵抗が小さくなる挙動が観測され、バルクと同様に金属であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初は、初年度は単層の金属原子層の成長法を確立することを目的としていたが、上記したとおり単層のNbSe2および単層のNbS2を成長することに成功した。さらに、NbS2については極低温まで電気伝導度の測定を行い、バルク結晶と同様に金属であることまで確認できた。以上のことから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は成長法のさらなる精密化を行うとともに、成長に成功した単層のNbSe2およびNbS2の物性探索を進める。とくに、単層における超伝導の発現について、またそのゲート変調を調べ、バルクの超伝導体にはないユニークな特長を見出していく。
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Causes of Carryover |
予定していた分子線エピタキシー法の装置のアップグレードをするまえに単層のNbSe2が成長できたため、アップグレード前の構成で検討を続けたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定していたアップグレードを次年度に行う予定。
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