2015 Fiscal Year Research-status Report
イオン液体を用いた電気化学 in situ 高解像度TEMシステムの開発
Project/Area Number |
15K13287
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
桑畑 進 大阪大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40186565)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | その場計測 / 透過型電子顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
電気化学反応を行いながら高解像度のTEM観察を行う場合、電解液としてのイオン液体が観察したい電気化学活性材料の解像度を低下しない状況を作らなければならない。理想的には80 nmの厚みの電極に観察したい材料を固定し80 nmの厚みのイオン液体を電極に接触させ、かつ反応種を供給する状況を作ることになる。しかし、液体をそのレベルで形状制御することは不可能であり、TEM内で観察しながら最適箇所を見つけるという作業が必要になる。よってそのような工夫ができるセルを、MEMS技術を駆使して作製した。Siウェハを直径3 mmに切り出し、中心に0.1 mm四方の窓を開けたものを基板に用いた。Siウェハの中心にイオン液体が貯まるように浅い溝を掘り、それら全体に支持体およびカーボン蒸着膜で被覆した。そして3電極を設置し、全てがイオン液体と接触する状態にする。イオン液体の導入量は、試料電極の先端辺りの観察部で80 nm前後となるようにした。そのために、セルの形状についてはMEMS技術の限界との兼ね合いで個々の箇所の寸法を決めた。 イオン液体中にリチウムイオンを溶存させ、電解還元によるリチウム析出を行い、そのTEM観察した。リチウム金属析出の場合、電解液(つまりイオン液体)の還元分解を伴ってLi金属表面にSolid electrolyte interface (SEI)と呼ばれる膜が生成することが知られており、その観察もできた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時の研究計画欄に記載した平成27年度の研究計画を全て行い、ほぼ、期待していた結果を得る事が出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
電極負極材料として検討されているSi粉末は、Li+ イオンが存在する電解液中で還元するとLiと合金化する。それに伴って粒子体積が増加する。これのin situ SEM観察はすでに行っている。これについて、in situ TEM観察による結晶レベルでの観察を試みる。さらに、最先端の電池材料について、その酸化・還元反応による材料形状の変化を調査することにより、材料の性能改善と新規材料開発の指針を得るためのデータ蓄積を開始する。具体的な材料としては、SiO負極材料、Li2S-P2S5系固体電解質、硫黄-ナノカーボン複合体、酸化物半導体,導電性酸化物(RuO2など) 、Si-O-C負極などをターゲットとする。
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