2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13301
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
松下 伸広 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (90229469)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ナノシート / 錯体ゲル / 合成プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度はオレイン酸-鉄錯体とアンモニア水との反応物を用いた新しい水熱合成法であるオレイン酸ゲル水熱成長法(OGHT法)を開発し、従来では達成出来なかった特定結晶面が析出した酸化鉄ナノ粒子の作製に成功した。 マグネタイトやヘマタイトの形態制御は多数の報告例があるにもかかわらず、オレイン酸被覆水熱成長法(OMHT法)によるマグネタイトナノ粒子は多面体状であった。本研究ではOMHT法の作製条件を検証する中でオレイン酸-鉄錯体がアンモニア水と反応しにくいことを発見し、オレイン酸-鉄錯体とアンモニア水を重点的に反応させた後に原料液を戻す合成法であるOGHT法を開発するに到った。出発原料を塩化鉄の二価および三価を用いたオレイン酸ゲル水熱成長法(OGHT)法により、非常に分散性の高い擬キューブ状のマグネタイトナノ粒子、プレート状マグネタイトや菱面体状のヘマタイトナノ粒子などを作製することに成功した。このような効果が現れるメカニズムについては未だ不明な点が多いが、オレイン酸-鉄錯体とアンモニア水が反応することによる脱水縮合反応の促進がOMHT法において配向面成長の鍵となると考えられる。 また、作製したフェライトナノシート内における磁化挙動について、磁気力顕微鏡(MFM)による観察・評価を進めた。この結果、作製したマグネタイトナノシート(一部はマグヘマイトシート)の中では磁化が一部でボルテックスの共同を示すことが示唆された。ただし、これはシートのサイズ、厚み、組成により大きな影響を受ける可能性が高いことから平成28年度で、詳しく調査していく予定としている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度はFeイオンの価数ならびにその比率を変えながら鉄系酸化物シートの合成を行った。その中でマグヘマイトγ-Fe2O3ナノシートが多数形成できる条件を見いだすことに成功した。ナノシートを再現性良く作製するためにはオレイン酸の純度も重要であることが明らかにするとともに、より大きなシートを得るための条件出しにも着手した。この様に、フェライトナノシートを合成可能とするプロセスの確立に向けてかなり順調に進んでいるが、当初予定していたイオンドープしたフェリ後なのシートの作製などの一部の内容については未着手であるので、「おおむね順調に進展」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、平成27年度の終わりに明らかになりつつある大きなフェライトナノシートを合成するための条件を確立するための実験を進めるとともに、Znイオン、Niイオン、Mnイオン等をドープしたフェライトナノシートの合成を目指す。さらにはサイズ、厚みが均一なフェライトナノシートを合成する条件の確立を行い、それら作製したフェライトナノシートのインクジェット装置によるパターニングや電気泳動法等を用いた薄膜堆積化の研究にも挑戦する。 また、MFMを用いたフェライトナノシート内の磁化挙動について寄り詳しく測定・解析を進めるとともに、LLG方程式に基づいた磁化シミュレーション結果との比較も行う予定としている。
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Causes of Carryover |
平成27年度に水熱合成容器を多数更新する予定であったが、研究室内のテーマ再配置の関係でこれまで他のグループが用いていた水熱容器を複数利用出来る状況になったことと、まずは合成条件を様々な方向から探索していく方針を取ったことから、高額なTEMの画像解析を含めた依頼分析等を平成28年度に行うことになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
水熱容器の数自体は多くなったものの、大きく且つ均一なサイズのフェライトシートの合成条件には水熱合成中の不純物の影響がかなり大きいことも分かってきていることから、平成28年度には新しい水熱容器を多数導入し、それらを用いた合成実験を進める。また、TEM画像によるFT解析やICPS等の組成の依頼分析も行う予定である。
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Research Products
(5 results)