2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13316
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
戸田 雅也 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40509890)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤井 孝志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地圏資源環境研究部門, 研究員 (80520874)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | マイクロデバイス / 超臨界二酸化炭素 |
Outline of Annual Research Achievements |
流体は微小空間へ閉じ込められることにより通常と異なる物性をしめすことが知られている.本研究では,2枚の基板の間に,超臨界二酸化炭素を閉じ込めたマイクロデバイスを作製して,CO2の超臨界状態での特異な熱物性を測定し,微小空間への閉じ込めによって現れる特性がデバイスとして応用できるかどうかを検討することを目的とした. 臨界点付近での熱的性質を計測するために,熱抵抗変化計測装置を用いる.2本の銅棒に熱電対を等間隔に設置し,それらの間にSC-CO2を閉じ込めるマイクロデバイスを挟み,上部と下部をそれぞれ加熱・冷却して銅棒の温度変化からマイクロデバイスに依存する熱抵抗変化を計測する. パターニングしたフォトニースを塗布したパイレックスガラスと,CO2が流れる穴を開けたもう1枚のパイレックスガラスをSUS製の土台と蓋で押さえ込み,2枚のガラスの間にSC-CO2が封じ込められるようなマイクロデバイスを作製し,SC-CO2を閉じ込める実証実験と,圧力を変えたときの熱抵抗変化から超臨界状態の観測に成功した.また,マイクロ空間に閉じ込めることで0.2 [MPa]の臨界圧力のシフトが観測できた.しかし,マイクロサイズの閉じ込めでは計測される熱抵抗変化が小さいため,ガラスを薄くするなど計測装置の改良が必要である.また,微小空間に閉じ込めた効果をより明らかに検証するためにはナノ空間の閉じ込めによって現れる物性変化を調べる必要があることがわかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2枚のパイレックスガラスをSUS製の土台と蓋で押さえ込み,ガラスの間に薄くSC-CO2が封じ込められるようなマイクロデバイスを作製し,実際に圧力ガス注入し,熱特性を計測できるマイクロデバイスを作製した.計測された熱特性より,液体から超臨界状態に変化する様を観測することができており,より狭い空間に閉じ込めることにより,マイクロ熱デバイスとして有効な設計に関する知見が得られている.
|
Strategy for Future Research Activity |
現在作製しているチャンバーは,マイクロサイズのものなので,微小空間に閉じ込めることによる特殊効果が小さい.より狭い空間に閉じ込めることにより,より大きな変化を検出できるように工夫する.一年目の結果で,設計論が見えつつある.さらに有効なマイクロデバイス化のための設計論の確立をめざす.
|
Causes of Carryover |
1年目ということで,高圧チャンバを含む実験系を組んで,動作原理の検証を行っていたが,圧力チャンバーの再設計と制作業者との交渉努力の結果,計測系にかかる費用を節約することができた.また,原理検証の実験に於いては,学生への謝金を支払う必要がなかった.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品購入費には,計測に伴う計測装置の購入にあてる.特に,1年目に購入した温度コントローラの精度がより求めら得ることがわかったため,より高精度な温度コントローラの購入を検討している.また,成果の学会発表や論文発表を増やし,学生への謝金支出も検討している.
|