2015 Fiscal Year Research-status Report
ナノ粒子のプラズモン共鳴を用いたオルガネラの温度場操作に基づく細胞機能制御の試み
Project/Area Number |
15K13321
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
森田 康之 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90380534)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | ナノ材料 / ナノバイオ / ドラッグデリバリーシステム / 膜透過ペプチド / がん治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞における機能発現の能動的制御を目指し,金属ナノ粒子を基盤とした高機能ドラッグデリバリーシステム(DDS)の開発を行う.一つには,がん細胞をターゲットとした新規DDSを開発する.この新規DDSは,生体適合性,患部集積性などの特性を有するばかりでなく,イメージング性,温熱治療特性,さらにはこれまでにない薬物放出制御特性を付帯させる.そしてこの新しいDDSによりがん組織の根治を目指す. 上記の目標を掲げ,当該研究は当初計画以上に進行している.現在,サブナノメートルオーダーの空孔を有するメソポーラスシリカをシェルとし,Fe3O4ナノ粒子をコアとするコアシェル構造のFe3O4@mSiO2の作製に成功している.そのサイズはコア直径が約15nm,シェル直径が90nmであり,当初の設計通りのナノキャリアが完成している.そして付加的機能である,交流磁場印加による発熱も確認している. このコアシェル型ナノ構造体Fe3O4@SiO2の表面に,がん細胞にのみ標的指向性を有する膜透過ペプチド(tLyP-1)を修飾することに成功し,抗がん剤をがん細胞にのみ送達することができるDDSの開発に成功している.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初示した平成27年度の実施計画 1. 基盤となる金属ナノ粒子として,マグネタイトナノ粒子を共沈法により作製する. 2. イメージング性,温熱治療特性のフレキシビリティを高めるため,マグネタイトナノ粒子の粒径制御を行う. 3. 作製したマグネタイトナノ粒子に,薬剤担持用のメソポーラスシリカを修飾する. 4. 作製したマグネタイト@メソポーラスシリカの特性評価(形状観察(TEM観察),元素分析解析(EDX分析),磁性評価(磁気吸着試験),発熱特性(電磁誘導加熱))を行う. 上記の計画以上に進展し,開発したナノ粒子へがん細胞のみに標的指向性を有する膜透過ペプチド(tLyP-1)の修飾に成功している.
|
Strategy for Future Research Activity |
当該研究開始時に示した平成28年度の実施計画(下記参照)を遂行する. 5. 作製したFe3O4@mSiO2に薬物放出制御特性を付帯するため,温度応答性高分子を修飾する. 6. 開発した新規DDSを実際のがん細胞に応用し,イメージング性,温熱治療特性,薬物放出制御特性などその機能性・有効性を評価する.
|
Causes of Carryover |
購入予定の試薬の見積り価格が,予想を上回ったため,購入を次年度に延期した.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度の予算と合わせて,購入予定の試薬を購入し,実験を進めて行く予定である.
|
Research Products
(13 results)