2015 Fiscal Year Annual Research Report
形態形成因子の定量計測による細胞発達メカニズム解明手法の確立
Project/Area Number |
15K13325
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
萩原 将也 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (00705056)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
許 岩 大阪府立大学, 21世紀科学研究機構, 講師 (90593898)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | パターン形成 / 反応拡散 / 細胞集団 / 細胞初期制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
肺気管支の分岐形成や血管ネットワーク形成など多くの細胞組織は発達の過程でそれぞれ固有のパターンを形成する.しかし細胞がどうやってお互いにコミュニケーションをとり組織全体としての形状を保っているかなど,発達メカニズムについては不明な点が多い.そこで数理モデルを用いて,分子の時空間変化を解析することにより発達のメカニズム解明に大きく寄与することが期待されている一方,数理モデル内に多くの実験パラメータが存在しているため,シミュレーションの評価は定性的なものが主体となっていた.さらに in vitroによる実験系では,実験条件のバラつきに起因するノイズが多く含まれ,発達する分岐パターンの再現性の点で課題が残る.結果として実験とモデルの間には曖昧性を含むギャップが存在していた. そこで本研究では, 2次元平面において気管支上皮細胞のみで細胞集団が固有のパターン形状を形成する実験系を用いて,細胞集団がどのようにして固有の形状へと移動・増殖を行うのかというメカニズムを解明するための手法を確立することを目的としている.まず細胞初期培養条件を微細加工により厳密に制御する手法を新たに開発した.生体適合性のある熱硬化性樹脂を用いたマスキングにより,簡便に細胞初期位置・濃度・集団形状を制御することができるため,実験時において細胞活性を弱めることなく迅速に作業が可能である. これにより数理モデルの理想的な環境にIn vitro実験を限りなく近づけ,複数の初期条件から実験と反応拡散モデルによるシミュレーションとのフィードバックを繰り返すことによりシミュレーション精度を飛躍的に向上させることを達成し,気管支上皮細胞集団がどのようにして移動方向を決定しているのかを活性・抑制因子のシステムにより解明した.
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