2016 Fiscal Year Annual Research Report
Exploration of novel materials hosting post-graphene atomic layers by high-pressure synthesis and electrochemical intercalation
Project/Area Number |
15K13332
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
酒井 英明 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (20534598)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 高圧合成 / インターカレーション / 熱電変換材料 / 黒燐 / 遷移金属ダイカルコゲナイド / ディラック電子系 / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ポストグラフェン積層物質の電気化学的制御方法の確立を目的に、まずは化学的により安定な遷移金属ダイカルコゲナイドMX2において、有機分子のインターカレーションによる電気的・熱的物性の制御を試みた。例として八面体構造からなるSnSe2は、バンドギャップを有するため半導体的な振る舞いを示すが、有機分子のインターカレーションにより電子ドープされると、室温での電気伝導度が1000倍以上増大し、金属化する。これに伴い、熱電性能の電力因子は約200倍増加することがわかった。さらに興味深いことに、インターカレーションにより層間方向の軸長が約3-5倍長くなり、結晶構造が劇的に変化する。この結果、フォノンによる熱伝導が抑制され、熱伝導度が三分の一にまで減少することが観測された。以上より、インターカレーションを利用することで、対象物質の電力因子の上昇と熱伝導度の低減の両立が可能であることを実証できた。 そこで同様の電気化学的インターカレーションを、黒燐と同様のバックリングしたハニカムシートの積層物質SnSeにも適用した。ところが、構成元素が同じ層状物質にもかかわらず電解反応が進まず、現状ではSnSeへのインターカレーションは成功していない。SnSeとSnSe2では、層間方向の化学結合の状態が異なっていることが考えられ、電解条件やインターカラントの最適化が必要であることがわかった。 また、新規ポストグラフェン積層物質の探索を目的に、昨年度見出したビスマス正方格子系の新物質開発にも取り組んだ。これまでに基礎物性の解明に取り組んできたEuMnBi2を基軸に、ディラック電子のキャリア濃度やバンド構造を制御した系や、異なる磁気構造を有する系などの合成に成功しつつある。今後は系統的な合成を行い、新奇物性の観測や他のプニクトゲン正方格子からなる革新的な積層物質の開拓を目指す。
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Research Products
(43 results)