2016 Fiscal Year Research-status Report
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15K13342
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
多田 和也 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (90305681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 人工筋肉 / 釣り糸 / 人工樹脂 / 熱収縮 |
Outline of Annual Research Achievements |
人体の動作をアシストするための装着型のロボットが注目を集めている。近年テキサス大学から発表された,釣り糸をコイル状に巻き上げた熱収縮型の人工筋肉(以下,「釣り糸人工筋肉」と呼ぶ。)は,このようなロボットに使用する人工筋肉として適していると考えられる。釣り糸人工筋肉はこれまでに提案されてきた導電性高分子などを利用した人工筋肉に比して,柔軟であり真柄強靭性に優れ,乾式で数%に及ぶ収縮性を示すなど,種々の優れた点を示す。今研究では,作製環境を厳密に規定するために恒温槽内に釣り糸人工筋肉作製装置を構築し,作製条件を精密に規定することで「スーパー釣り糸人工筋肉」を開発することを目的としている。昨年度は恒温槽内への作製装置の構築と,レーザー変位計を用いた熱収縮性測定環境の構築を行った。 本年度は,①昨年見出した熱処理による安定化の条件についての詳細な検討と,②昨年度構築した前記装置を用いて種々の温度及び加重下で作製した人工筋肉の動作特性の評価を行った。結果として,①については動作を安定化させる熱処理について,温度及び熱処理時間依存性を明らかとすることができ,また,②については種々の温度及び加重下で作製した人工筋肉の動作特性の評価を行ったところ,温度上昇に伴い人工筋肉作製における成功率と適用可能な加重範囲の増大を見出した。一方,人工筋肉を作製する装置と評価する装置のスライド部分を兼用していたが,実験を繰り返す中で,評価するにあたっては摺動抵抗の少ない装置を開発する必要があると考えられる現象が見いだされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は昨年度より,以下のような着実な研究の進展が見られた。 ①動作を安定化させる熱処理について,温度及び熱処理時間依存性を明らかとした。 ②種々の温度及び加重下で作製した人工筋肉の動作特性の評価を行ったところ,温度上昇に伴い人工筋肉作製における成功率と適用可能な加重範囲の増大を見出した。 しかしながら,以下のような問題点から,当初予定からはやや遅れていると判断した。 ①現在はまだ外部のヒーターによる加熱による評価しか行えていない。 ②人工筋肉を作製する装置と評価する装置のスライド部分を兼用していたが,評価するにあたっては摺動抵抗の少ない装置を開発する必要があると考えられる現象が見いだされた。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は主に次の項目について検討する予定である。 ①金属ペーストなどを用いて,人工筋肉を直接電気的に駆動できるように,ヒーターを取り付け,作製環境と動作特性の関係を明らかとする。 ②収縮性評価のために,摺動抵抗の少ない装置を開発する。 ③6,6-ナイロン以外の素材のフィラメントで人工筋肉を作製する。
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Causes of Carryover |
文献調査により,人工筋肉に直接ヒーターとして導電性塗料を塗布する際,プラズマ処理による表面改質を行うことが有用であることが分かった。このプラズマ処理装置の機種選定が遅れたことが,次年度使用額が大きくなった一因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記のプラズマ処理装置の導入に大半を使用する予定である。また,研究成果を適宜取りまとめ,学会発表や論文発表を行う。
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