2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of pure spin injection probe using multiprobe STM
Project/Area Number |
15K13358
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保原 麗 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 特任研究員 (30568176)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 修司 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (00228446)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピン / プローブ / SPM |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、昨年度までに作成したモノリシックな純スピン注入プローブを用いて、逆スピンホール効果を用いた純スピン流注入の実証を行い、プローブの特性評価、課題や解決方法の検討を行った。微細加工技術によってさまざまな角度の金ワイヤーを作成し、ワイヤーに純スピン注入プローブを接触させ、スピンを注入した際にワイヤー両端に生じる逆スピンホール電圧を測定することで純スピン注入を検証した。発生した電圧はおおよそ3mV/Iであり、過去の研究成果と一致した。しかし、金ワイヤーに電圧をかけた際にプローブに生成する電流を測定することでスピン圧を検出するという、逆効果を用いたスピン圧検出はできなかった。これは作成したプローブのスピン生成・検出機構である磁性体・常磁性体界面が広く、スピン緩和長よりも遠い距離まで広がっているため、スピン注入・検出に有効に使われていない領域があるためであることがわかった。 当初計画では、モノリシックなプローブ作成のために各種検討を行うところまでの研究計画であったが、学術的・工学的に意義の小さい強磁性探針の制作や多探針SPM装置での実験を省略することで、実際のプローブ製作・その実証まで研究を進めることができた。本研究によって開発されたプローブは、従来不可能であった「その場」での「空間分解能をもった」「純スピン注入」を実現するプローブである。微細加工技術を用いた電極の埋め込みやマイクロ波照射装置が必要ない、簡便な測定手法であるだけでなく、スピン物性の空間依存などの従来不可能であった測定が可能であり、スピン物性研究・表面物性研究における新たな測定手法になると考えている。
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