2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13359
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
千葉 大地 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10505241)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 極性酸化物 / 磁性金属超薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極性酸化物上に製膜した数原子層の強磁性薄膜に注目する。下地酸化物の分極方向に依存した磁性の違いを観測し、その起源を多角的な実験により理解する。極性酸化物上の金属超薄膜では、ビルトインされたバックゲートが加わっている状況を作り出すことが可能である。金属側界面での電子濃度変化の方向は、下地酸化物表面の極性によって決まる。これにより、同じ物質上に製膜しているにも関わらず、下地の極性により磁性が全く異なる可能性がある。例えば磁気異方性は、磁気記録応用にとって最も重要な物性の一つであるが、本研究によって、新たな発想に基づいた物質デザインを可能とする技術の芽を育てることを目指す。 研究の結果、同じZnO基板上に同じCo超薄膜を製膜しただけであるが、極性面が異なるだけで全く異なる磁気的性質を示すことが分かった。Zn極性面上の試料は明瞭な面内磁気異方性、O極性上の試料は同じく明瞭な垂直磁気異方性を示した。また、キュリー温度はZn極性面上の試料が約60 K高いという結果が得られた。透過電子顕微鏡を用いて界面付近の構造同定を行ったところ、Zn極性面上に製膜した試料は極めて良好なZnO/Co界面を有しており、Zn終端面直上のCoの1原子層の面内の原子間隔はZnOのa軸の格子定数と同等であることが分かった。一方でO極性面上のCoはZnO基板との混じりあいが生じ、多結晶もしくはアモルファス状の構造であった。CoはOの直上に位置しやすいと考えられ、表面エネルギーが安定化するように構造を再構成し、そのために混じりあいが生じている可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りの研究遂行が行われている。予想していた通りの実験結果が得られ、多角的に行っている解析結果も極めてリーゾナブルである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、論文原稿をほぼ完成させているため、これを可能な限り早く投稿し、成果の公表を目指す。また、製膜する材料の幅を拡大すべく、学生などの研究協力者人員を増強する予定である。
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Research Products
(5 results)