2015 Fiscal Year Research-status Report
フェムト秒時間分解光コムシングルショット過渡吸収分光法の研究
Project/Area Number |
15K13372
|
Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
塩田 達俊 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (10376858)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 光計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
シングルショット過渡応答計測システム実現の第一段階として、これらの課題の対策を提案し、基礎検証を行うことで、新規のシングルショット過渡応答計測手法の実現可能性を示すのに十分な結果を得ることを目的として実験を行った。具体的には、2波長同時ヘテロダイン検波法のシングルショット計測化およびprobe光として用いる超高速繰り返しパルス列の生成についてそれぞれ基礎検証を行った。 2波長同時ヘテロダイン検波法のシングルショット計測化に関して、3光路によるDC電圧の同時計測を提案し、1 GHz周期の光信号を提案手法によって周波数帯域10 GHzにわたり計測した。得られたスペクトルを基に波形を復元し、シミュレーション結果と比較した結果、ほぼ同じ波形が得られていることが確認できた。以上の結果より、単一ショット位相計測に適用できる2波長同時ヘテロダイン検波法の計測システムの原理実証をした。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標としていたフーリエ空間計測の動作原理の検証とシングルショット計測の原理確認実験を進めた。 2波長同時ヘテロダイン検波法を単一ショット過渡応答計測システムへ適応する際、従来の方法では単一ショットで相対位相を計測できないという課題があった。従来の方法ではDC電圧から相対位相を抽出する際にDelay lineを用いることで信号光と参照光の光路差を走査して取得した光路差とDC電圧の関係をフィッティングすることで相対位相を取得していた。しかしこの方法ではシングルショット計測を実現することができない。そこで、この方法に代わる新規の抽出方法を考案した。 一方、フーリエ空間でシングルショット計測を実現するためには、測定を一度に取得する必要がある。二波長同時ヘテロダイン検波法で検出する直流信号には相対位相以外にバイアス値、振幅値という光源、光路、試料に依存する3つのパラメータが存在するので、最低でも3点の異なる位相で計測することで相対位相を決定できる。また、二波長同時ヘテロダイン検波の信号は早退位相に対して正弦波の関数となるので、相対位相が0度、90度、180度に対応する様に光路差を設定した3経路を用いて並列に信号計測し、相対位相を導出した。得られたDC電圧から,連立方程式を解くことで相対位相を一意的に決定することに成功した。さらに、計測に用いるDCメータをデジタイザと呼ばれる高速サンプリング計測器を用いることで、1ナノ秒で高速な光信号波形計測を実現した。
|
Strategy for Future Research Activity |
光周波数コム合成によるパルス列の合成と計測時間領域の拡大を主な目標として次の様に進める。 テラヘルツ超高繰返し光パルス列の生成として、25GHz 光周波数コムから200G カラーレス AWG(アレイ導波路格子)を用いて、 200GHz 光周波数コムを得る。さらに、32ch 光シンセサイザにより振幅・位相スペクトルを独立制御することで、テラヘルツ超高繰返しパルス光を発生する。さらに、信号光のコム間隔より狭い間隔の参照用光コムを用いて積分時間を信号光の繰り返し時間より長く設定することで時間領域を拡大する。 一方、時間領域を有限に設定することで連続スペクトルの測定を不要とし、その時間内では連続スペクトル測定と同一線上にあることを実験的に確認する。このとき、その時間領域の逆数の周波数間隔で計測する。計測時間領域で積分したスペクトル計測することで、シングルショット計測の原理確認を行う。
|
Research Products
(9 results)