2015 Fiscal Year Research-status Report
2光子励起イメージングに最適化した生体臓器透明化方法の開発
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15K13376
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小野寺 宏 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20214207)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 臓器透明化技術 / 神経生理学 / レーザー顕微鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,生きた動物の頭蓋骨を透明化処理することにより,頭蓋骨を除去することなく大脳皮質を透見することを可能にする技術の開発を目的とする.本研究の成果は,従来不可能であった左右の大脳皮質の広領域機能を同時に,かつ長期間の観察を可能にすることにより記憶学習や疾患病態研究に貢献できる. 平成27年度,マウス頭蓋骨を用いて頭蓋骨透明化試薬の開発をおこなった.数種類の高屈折率溶媒のカクテルを準備し,骨の透明度(可視光領域での透過率透過率上昇)および透明化までの所要時間を指標として透明化試薬カクテルをスクリーニングした.その結果,マウス頭蓋骨を透明化できる方法を確立することができた.本試薬にマウスから摘出した頭蓋骨(頭頂骨)を浸漬・静置すると,48時間以内に頭蓋骨を透して文字を読むことが可能になった.そこで頭蓋骨外側(脳とは反対の側)にのみ透明化試薬候補カクテルを滴下して光透過性を経時的に測定した.頭蓋骨外側から内側への透明化試薬の浸透時間,透明化試薬消費量を測定し,透明化試薬候補カクテルの改良をおこなった.その結果,2016年春,約16時間で摘出マウス頭蓋骨透明化が可能になった. そこでマウスの頭蓋骨を露出して透明化試薬を塗布してその効果の検討に進んだ.生きたマウスを非麻酔条件で透明化試薬を頭蓋骨上に保持するためのシステム開発が必要であった.頭蓋骨に透明化試薬を保持するためのタンク搭載と頭蓋骨にタンクを接着するための接着剤の選定に時間を要した.平成28年春,透明化試薬を頭蓋骨に連続供給するための装置の設計を完了し,28年度の頭蓋骨越し大脳皮質神経細胞観察実験のための準備が整った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進行している (1)マウス頭蓋骨を生きた状態で透明化する試薬カクテルの選定をほぼ完了した.(2)マウス頭蓋骨を摘出し上記の透明化試薬カクテルを添加すると24時間以内に透明化をすることが可能になった.(3)生きたマウスの頭蓋骨に透明化試薬を供給するためのタンクシステムを設計し試作をおこなっている.(4)多光子顕微鏡による透明頭蓋骨越し脳観察のための光学系開発に着手した.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度において,頭蓋骨透明化試薬の開発をほぼ完了し,マウス摘出頭蓋骨を24時間以内に透明化することに成功した.28年度は実際に生きたマウスの頭蓋骨に透明化試薬を連続供給することにより24時間以内に頭蓋骨透明化・大脳皮質透見を可能にしたい. 28年度の最重要課題は,マウスを麻酔せずに自由に動き回れる状態でいかにマウス頭部に透明化試薬タンクを保持できる装置の開発と改良である.種々の頭蓋骨接着剤の性能評価,頭蓋骨に塗布した透明化試薬による炎症惹起性,頭蓋骨透明化状態の持続期間を検討し,透明化試薬と透明化システムを最適化していく. 頭蓋骨透明化により大脳皮質透見が可能になれば,光による神経細胞制御(チャネルロドプシン導入動物を用いて),蛍光指示試薬による脳機能解析(血流,神経興奮状態,代謝など)の解析に進みたい.多光子顕微鏡による脳深部解析をおこなうための顕微鏡光学系ならびに撮像用アダプターを製作する.現時点では本研究申請時の研究計画に沿って遂行できると考えている.
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Causes of Carryover |
動物頭部に搭載する透明化試薬搭載装置の開発に時間を要したため,予定していた動物匹数での実験が困難になった.このため透明化試薬購入費,動物購入費,光学システム接続部品購入費について28年度に執行することになった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の問題が解決したため,28年度に上記予算を執行して研究に供する.
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Ultraflexible organic amplifier with biocompatible gel electrodes2016
Author(s)
Tsuyoshi Sekitani, Tomoyuki Yokota, Kazunori Kuribara,w, Martin Kaltenbrunner, Takanori Fukushima,Yusuke Inoue, Masaki Sekino, Takashi Isoyama, Yusuke Abe, Hiroshi Onodera, Takao Someya
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Journal Title
Nature Communications
Volume: in press
Pages: in press