2015 Fiscal Year Research-status Report
プラズマ・液体相互作用現象解明のための計測技術への挑戦
Project/Area Number |
15K13388
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
西山 修輔 北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30333628)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | プラズマ・液体相互作用 / 大気圧プラズマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、プラズマ・液体相互作用における気相、液相、および気液界面を観察する方法を開発するものであり、第1年度は実験装置の準備が整った液相側における研究を行った。 フェノール水溶液とその液面上4mmに設置した直径0.7mmのステンレスノズルから放出したヘリウムガスの間で直流グロー放電を行い、プラズマが液層に接する水面直下の様子をシャドウグラフ法で観察した。Nd:YAGレーザーの4倍高調波(266nm)を観察点の背後を通過させて生じるフェノールのレーザー誘起蛍光をシャドウグラフの光源として用いた。撮像系には迷光除去の532nmおよび266nmのノッチフィルター、15μm以下の解像度となる拡大光学系とICCDカメラを用いた。 プラズマを生成しない状態では、水面下には吹き付けられたヘリウムガスによる水面の窪みが影として観察された。直流グロー放電によるプラズマを生成した場合には影の領域が拡大し水の屈折率分布が生じていることから、プラズマ照射点を中心に高温領域が形成されていることが観察された。また、液相側を陽極とした直流グロー放電では、シャドウグラフ像の影の領域は時間的に変動せず静的な温度場が形成されるのに対し、液相側を陰極とした放電においてはシャドウグラフ像が激しく時間変化しており、液面における沸騰あるいはイオン電流として輸送されたヘリウムによるバブル形成が示唆された。さらに、液相の導電率を上げると高温領域が縮小することからプラズマと接する点の近傍の液相におけるジュール加熱が液相中の温度場形成に寄与していることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、プラズマ・液体相互作用について、気相、液相、気液界面それぞれの領域における観察および計測技術の開発がねらいである。 第1年度では、液相中の様態について興味深い現象を観察することができた。定量的な計測については第2年度以降に取り組む準備を進めている。また、気相側の計測法についても準備を進めており、気液界面の計測を第3年度に行うことでおおむね計画に沿って研究を進められると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
第2年度では、初年度のシャドウグラフ像と比較することで液相側の物理的な現象の理解に資するため、液相側の温度分布の定量的評価を行えるレーザー光による光学的な方法を開発する。干渉計を用いた方法は二次元の温度分布が得られるが、本研究で対象とるすような液相で温度変化(屈折率変化)の大きい系では波面の歪みが大き過ぎて適さない。細く絞ったレーザービームを水面下に入射して屈折後の出射方向を記録し、入射位置を走査することで空間的な温度分布の取得を目指す。また、気相側の計測として予定していた、NOガスを使ったレーザー誘起蛍光法の空間的な感度一様性の検証および気相中でのOHラジカル密度計測を行う。順調に進んだ場合には、気液界面の状態を観察可能な和周波発生分光法の実験装置の構築と予備実験を行う。
|
Causes of Carryover |
当初は初年度に気相側計測用の真空容器を製作する予定であったが、液相側の研究を初年度に行ったため次年度使用額が生じた。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
真空容器は今年度に適当な容器が流用可能となるのでその改修費用に次年度使用額を充当し、今年度所用分は計画どおり光学部品や放電ガス、発表および情報収集のための旅費として使用する。
|