2015 Fiscal Year Research-status Report
大気圧プラズマと細胞刺激発生装置の併用による脳神経細胞の修復及び機能回復
Project/Area Number |
15K13392
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
平田 孝道 東京都市大学, 工学部, 教授 (80260420)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高宮 真 東京大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20419261)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 大気圧プラズマ源 / 化学修飾CNT / 立体ナノ構造構築 / 細胞刺激発生装置 / 脳神経細胞再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、細胞を伸長させるための“足場”となるCNT表面に化学修飾処理を施し、更なる細胞ネットワークの構築を促進させるための基礎実験を行った。実験結果は、以下の通りである。本研究ではアミノ基の修飾方法としてプラズマアクティベーション(Plasma-Activation, PA)と化学修飾(Chemical Modification, CM)の両方を用いた。修飾後はフーリエ変換赤外分光光度計(FT-IR)を用いてCNT表面の評価を行った。FT-IRの結果により、PAとCMのどちらの化学修飾方法でも、CNT表面のアミノ基修飾を確認したが、スペクトルを比較した場合PAの方が有効であると考えられる。また、生体適合性の評価実験として、NIH3T3細胞を用いたin vitro実験を行った。実験の結果から、PAとCMの両者とも、CNTの生体適合性を向上させたことが細胞増加率より確認できた。どちらの化学修飾方法も有効ではあるが、PAの方が有効的であると考えられるため、PAについて重点を置き、より有効的な処理時間の検討を行った。処理時間の検討を前述の実験と同様に行い、FT-IRによる測定の結果から、15分間と20分間の処理時間のみがCNT表面にアミノ基を修飾させていることが確認できた。 NIH3T3細胞を用いたin vitro実験では、細胞増加率から15分間の処理時間が最も生体適合性を向上させたことがわかった 。これらの結果を踏まえ、CNTの生体適合性を向上させるには、15分間のPAが最も有効であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全体的な到達度に関しては、70-80%程度であり、やや遅れている。 細胞刺激発生装置に関しては、外部からの電力供給を行うための電力伝送回路がほぼ完成しているものの、体内埋め込みを想定した被覆に関する試作検討を行った結果、防水などに不具合が生じる場合があるために改良が必要である。更に、“足場”となるCNTについても、立体構造構築に関するプロセスがようやく完成したため、今後実験を進めていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の結果を踏まえた各チームにおける検討項目及び到達目標は、以下の通りである。 [チームⅠ]→前年度のプラズマ照射による細胞増殖実験を継続して行う。特に、プラズマ照射時間及び距離に関する細胞増殖率の把握を行い、安定した細胞増殖のための最適値を確立させる。⇒ 平田、学生 [チームⅡ]→前年度のネットワーク形成に関する基礎実験を継続して行うと共に、立体構造による細胞の垂直方向への伸長を促進させるための構造最適値を把握する。具体的には、CNTの化学修飾方法を変えた場合の機能化状態の評価を行う。特に、立体構造内の細胞増殖・伸長を調べるため、細胞核染色及び蛍光などの光学的手法による評価を行う。⇒ 平田、学生 [チームⅢ]→前年度の策定仕様を基に、具体的な回路パターンの設計を行う。特に、生体埋め込みを前提としているため、防水性に優れた回路デザインが必要である。故に、シリコーンラバーの1種であるポリジメチルシロキサン(PDMS)及びポリイミドによるコーティングを施した場合の回路の安定動作に関する検証実験を行う。更に、パルス電圧を印加した場合の細胞状態を観察する。特に、パルスの周波数及び電位を変化させた場合の成長因子を含めた細胞状態を多角的に評価する。⇒ 高宮
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Causes of Carryover |
生体適合性材料が想定金額よりも高額になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に生体適合性材料の購入に充当する予定である。
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