2016 Fiscal Year Research-status Report
太陽光の準単色化によるレクテナソーラーセルの高効率化
Project/Area Number |
15K13395
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
湯上 浩雄 東北大学, 工学研究科, 教授 (60192803)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金森 義明 東北大学, 工学研究科, 准教授 (10333858)
清水 信 東北大学, 工学研究科, 助教 (60706836)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 熱ふく射 / 光レクテナ / 熱ふく射スペクトル制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
レクテナとは整流(rectify)とアンテナ(antenna)を合わせた造語であり、アンテナによって吸収した光を整流することで直接電力へ変換するシステムである。電磁波である光のエネルギーを直接取り出すため理論効率は100%であり、既存のシステムを大きく超える効率が期待できる。 本研究では潜在的に既存の太陽エネルギー変換デバイスを凌駕する可能性を持つレクテナソーラーセルにおいて「太陽光準単色化デバイスの作製」とそれに対応する「赤外アンテナの設計と作製」を行い飛躍的な効率向上を達成するための知見を得ることを目的として以下の研究を行った。 1.本研究では従来のマイクロキャビティ構造では閉じ込め効果が弱くQ値が小さいため熱放射の準単色的制御は難しいと考えられることから、レーザー光学におけるOutput-Coupler鏡の概念を応用し、キャビティ開口部を極薄金属膜でカバーすることで局在効果を増強した構造において最適構造の検討を行い、作製プロセスを確立した。その結果マイクロキャビティ内にシリカガラスが充填された構造において、透過型電子顕微鏡を用いた断面観察等により想定した構造と近似した構造が作製されたことを確認することができた。 2.中赤外域で作動可能なアンテナ構造は限定される。加えて、本研究の作動波長域(100THz程度)で駆動可能なダイオード構造と親和性の高い構造が要求される。理論解析、文献調査等実施により作動波長域で高効率が期待できる新規アンテナ-ダイオード一体型構造を考案し、構造の作製を進めている。 3.周期的微細構造―多層膜ハイブリッド構造により500℃において85%以上の効率を有する高効率太陽光選択吸収材料の概念設計および作製を行い、設計通りの性能を実現することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱ふく射スペクトル準単色化のための作製プロセスは確立できている。光学シミュレーションで見られた高い狭帯域放射ピークは見られていないものの本構造のコンセプトによる放射ピークは確認できており、進捗状況は問題ない。
レクテナ構造の設計は昨年度途中でアンテナ-ダイオード一体型構造の検討に方針転換を行い、作動波長域で高効率が期待できる新規構造を考案した。また作製プロセスを検討し、実現可能なプロセスを考案した。現在作製を進めており順調に進捗している。
高効率な太陽光選択吸収材料については周期的微細構造-多層膜ハイブリッドによる概念構造設計を行った。作製・評価を通じ、500℃で85%以上の高効率が得られており、大変順調に研究が進捗した。
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Strategy for Future Research Activity |
アンテナ-ダイオード一体型構造の作製を最優先で行い、作製した構造の特性評価を実施する。熱ふく射スペクトル準単色化構造は現プロセスの各工程における最適化をすすめ構造の作製精度を高めることによって準単色化の実現を目指す。
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