2016 Fiscal Year Research-status Report
ラジオフォトルミネッセンスを用いた放射線種弁別可能なイメージセンサの開発
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15K13399
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
南戸 秀仁 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30133466)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹井 義法 金沢工業大学, 工学部, 教授 (30350755)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 放射線センサ / 放射線種弁別 / リン酸塩ガラス / ラジオフォトルミネッセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
リン酸塩ガラスのラジオフォトルミネッセンス(RPL)現象を利用した「放射線種弁別可能な二次元放射線イメージセンサシステム」の開発を目指し、本年度は、①リン酸塩ガラスビーズ(直径約50マイクロメータ)を有機フィルム上に積層して作製したリン酸塩ガラスシートを用いて、そこに潜像した放射線の2次元イメージをRPLにて読みだすためのRPL読み取り装置を試作した。その上で、ガラスシートに記憶された放射線の2次元イメージを読み取るためのノウハウを蓄積し、イメージを読み取ることが可能となった。この成果は学会においても高く評価を受けており、現在、千代田テクノル(株)アメリカのエール大学との共同で、リン酸塩ガラスビーズを薄い有機フィルム中に含浸させて作製した二次元RPLシートや放射線量の可視化が可能な作業用手袋などを試作し、福島原発などの放射能汚染区域で作業をする人の被ばく線量や放射性同位元素の付着具合等を可視化(紫外線を照射することで放射線の当たった個所や同位元素が付着した箇所でRPL発光が生じ、放射線量の可視化が可能である)するためのシステムの開発を行っている。 ②ガラスシートに、X線およびアルファ―線のような粒子線を照射し、記憶された放射線イメージから放射線種の識別が可能か検討を行った。その結果、RPLのスペクトルの計上に違いにより放射線種が識別できることを明らかにできた。 ③また、成果の一部を学会(国際学会及び国内学会)にで講演発表を行うとともに、論文として投稿を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は、昨年度の成果を基に、まずはリン酸塩ガラスシートを作製し、そのシートに記憶された放射線の二次元像を取得するための装置の試作・開発を行った。 具体的には (1)リン酸塩ガラスビーズ(直径約50マイクロメータ)を有機フィルム上に積層して作製したリン酸塩ガラスシートを用いて、そこに潜像させられた放射線の2次元イメージをラジオフォトルミネッセンス(RPL)にて読みだすためのRPL読み取り装置を試作した。その上で、ガラスシートに記憶された放射線の2次元イメージを読み取るためのノウハウを蓄積し、イメージを読み取ることが可能となった。 (2)ガラスシートに、X線およびアルファ―線のような粒子線を照射し、記憶された放射線イメージから放射線種の識別が可能か検討を行った。その結果、RPLのスペクトルの計上に違いにより放射線種が識別できることを明らかにできた。 (3)ガラスシートの積層化については、技術的な課題があり、今年度は試作できなかった。この件に関しては来年度検討することとし、最終的には、放射線種およびエネルギー弁別可能なイメージングセンサの最適作製条件を決定するとともに、放射線種の弁別が可能なセンサシステムを構築する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度である平成29年度は、前年度試作をしたリン酸塩ガラスシートとRPL読み取り装置を用いて、いろいろな放射線種に対する応答を測定し、開発したRPL二次元放射線イメージセンサの最適化を図るとともに、放射線種の判別の検討を行う。また、リン酸塩ガラスシートの積層化についても検討を行い、最終的には放射線種の弁別が可能な二次元放射線イメージセンサシステムの構築を目指す。
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Causes of Carryover |
今年(平成28年)度に試作予定のRPL読み取り装置の製作を行うために、平成27年度の予算(約18万円)を少し繰り越しをして、28年度の予算に上乗せする形をとった。その結果、何とか予算の枠内での試作を行うことができた。最終的には、わずか約5万円ほど、残額が残ったので、この分は最終年度に回すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度(平成29年度)の予算で、一部ガラスシートの作製を行うが、ほとんどは成果発表および研究調査に使用することを計画している。
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