2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on Dynamic X-ray Diffraction Microscopy
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15K13402
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
篠原 佑也 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 助教 (60451861)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コヒーレントX線 / 量子ビーム / 回折顕微法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はコヒーレントX線回折実験を用いて物質中のダイナミクスを可視化するための新しい測定・解析の方法論「X線動的回折顕微法」を提案、実証することを目的として実施してきた。X線回折像から実空間構造を再構成するためには、回折像を測定する過程で失われる位相情報を復元する必要がある。これまでの研究では対象を孤立物体に限定、あるいは試料上でビームを走査する際に重なり合いをもたせるなど、空間情報に関する冗長性を活かした位相回復が実施されてきた。本研究ではそれらの方法が適用困難な構造が時間変化するような系に対して、時間方向の情報冗長性を活用して位相情報を回復する。 これまでに時間方向の冗長性を利用した位相回復アルゴリズムの検討や、位相回復の対象として用いるコロイド分散系の開発などを実施してきた。最終年度では、時間的に構造揺らぎを示すコロイド分散系を計算機上で作成し、コヒーレントなX線を入射して得られる回折像の動画を計算した。回折像の動画に時間方向の冗長性を組み合わせた位相回復アルゴリズムを適用することで、ダイナミクスや入射X線の波面に関するモデルを利用せずに実空間での動画を再構成することに成功した。また動画再構成の結果が、元の実空間構造の時間変化の度合いに依存することを確認した。また、入射X線が平面波であるか、球面波であるか等の条件にも動画再構成の結果が依存することが確認され、今後より広い対象に本手法を適用する上での課題も明らかになった。
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