2015 Fiscal Year Research-status Report
発振型自由電子レーザーにおける非飽和増幅開拓による高強度テラヘルツ光発生
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15K13407
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川瀬 啓悟 大阪大学, 産業科学研究所, 助教 (60455277)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 自由電子レーザー |
Outline of Annual Research Achievements |
発振型自由電子レーザー(FEL)の飽和現象を回避し、より高強度なテラヘルツFEL光を発生させることを目的として、本研究では発振型FELの増幅メカニズムを理論的に再検討し、FEL相互作用による光増幅が飽和する前に電子ビームバンチ列のエネルギーを変化させることで非飽和増幅が達成できるかを研究している。さらにそれが理論的に実現可能であると予言できる場合には、現実の加速器電子ビームを制御することにより、実験的に実証可能かどうかも合わせて検討している。 今年度は特にこれまでに発表されてきた多くのFELの増幅メカニズムに関する理論的な研究について調査し、電子ビームと光、周期磁場との相互作用について、電子ビームのエネルギーと時間に対する依存性、すなわち縦方向に位相空間での相互作用の時間発展について、調査・研究を実施した。また現在FELの研究に対して、比較的に広く用いられている既存のシミュレーションコードについてもその詳細を調査した。 さらに理論的な調査・研究に加えて、大阪大学産業科学研究所に設置されている電子ライナックを用いて、実験的な研究の準備試験を実施した。具体的には、ライナックに供給されているハイパワーRFパルスの振幅を、低レベル高精度RF変調システムを用いて制御することにより、電子ビームバンチ列のエネルギーを制御できることを確認した。 今年度の得られた研究成果について、中間成果報告として来年度の日本加速器学会年会や各種研究会、国際会議等で発表、報告するための準備を遂行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論的な詳細検討については、現在も継続して進めている。シミュレーションコードの再構成については理論検討を十分に進めた段階で詳細設計が可能となるため、当初の予定よりやや遅れている。一方、実験的にバンチ列のエネルギーを制御できることが確認できたことは予定よりも進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
代表者の所属変更に伴い、実験的な検証については若干遅れる恐れがあるが、その分今年度遅れているFELの非飽和増幅の可能性の理論的な詳細検討とシミュレーション構築を今後集中的に推進する。バンチエネルギーの制御に関しては今年度おおよその制御可能性が確認できたので、今後は詳細な制御手法を構築する。
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Causes of Carryover |
過去の理論的な研究の再検証に想定以上に時間を要したことで、本格的なシミュレーションの実施までにはまだ至っていないため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
代表者の所属変更に伴い、理論的な研究資料の量がこれまでよりも低下するため、その整備に充てるとともに、今年度完了しなかったシミュレーションの実施環境を整備する。翌年度分として請求した助成金については、当初計画通り、実証実験のための装置開発と成果発表・情報収集等に使用する。
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Research Products
(8 results)