2016 Fiscal Year Research-status Report
レーザー駆動量子ビーム照射場を用いた半導体デバイス用宇宙線影響評価手法の開発
Project/Area Number |
15K13410
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
渡辺 幸信 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (30210959)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 量子ビーム / レーザー駆動イオン加速 / 宇宙線環境 / 半導体デバイス / 照射効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、極短パルス高ピーク出力レーザーの最先端技術に基づく革新的なレーザー駆動複合量子ビーム照射場を宇宙機搭載電子デバイスの宇宙線影響評価へ応用することを目指し、発生放射線の基礎データ取得と半導体デバイス誤動作シミュレーション手法を開発することを研究目的にしている。本年度の実績は以下の通りである。 1) 照射効果シミュレーション(担当:渡辺) 引き続き、粒子・イオン輸送計算コードPHITSを用いた電荷付与過程のシミュレーションを行った。実半導体デバイス体系の入力データを作成して、単一エネルギーの荷電粒子を単独で照射した場合のシミュレーションを行い、簡易的な有感領域モデルを用いてシングルイベントアップセット確率を計算した。宇宙環境下での高エネルギー宇宙線(イオンと電子)のエネルギー分布やフラックス情報の調査を継続して行い、PHITS計算の入力方法を検討した。 2) 生成イオン・電子・中性子計測システム開発(担当:渡辺と連携研究者) J-KAREN-P実験施設(量子科学技術研究開発機構・関西光科学研究所)にて、前年度開発した生成イオン(陽子及び重イオン)のオンライン測定用トムソンパラボラ型スペクトロメータ(TP)を用いたテスト実験を行った。J-KAREN-Pのレーザーを薄膜ポリイミドターゲットに照射し、放出された陽子のエネルギー分布の測定に成功し、TPが設計通りに動作することが確認できた。なお、エネルギー分布は連続分布で、最大エネルギー24MeV程度であった。生成陽子のビーム幅の測定結果に基づき、コリメータによる散乱とドリフト空間中にて生じる空間電荷効果について考察を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
開発した中性子計測系のテスト実験(九大で実施予定)が遅れて、本年度のJ-KAREN-P実験では使用できなかった。このため上記の自己評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
レーザー駆動複合量子ビーム場の特性評価を継続して行い、レーザー照射条件や標的材料をパラメータとして宇宙線環境模擬に適している実験条件(レーザー照射条件や標的)を探り、複合量子ビーム場の基礎データ(イオン種や強度、エネルギー分布等)を収集する。トムソンパラボラ型スペクトロメータによる測定結果を比較するために、箔放射化法による陽子エネルギー分布測定も実施する。 照射シミュレーションについては、単一ビーム照射のシミュレーションを発展させ、同時複合ビーム照射に条件を変えた場合のデバイス(MOSFET構造)の過渡応答特性として、初期生成二次電荷の空間分布や過渡電流に着目したシミュレーションを実施する。この解析により、単一ビーム照射と同時複合ビーム照射の違いを明らかにする。 最後に、3年間の研究成果に基づいて、革新的なレーザー駆動複合量子ビーム場を宇宙機搭載デバイスの影響評価(デバイスの誤動作のメカニズムの解明と耐宇宙線デバイス開発)に適用する場合の課題を抽出し、次の研究目標を定める。
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Causes of Carryover |
組織再編によりJ-KAREN-Pレーザーを有する関西光科学研究所が、日本原子力研究開発機構から量子科学技術研究開発機構の傘下に入り、そのために次年度から施設共用利用として実験を実施することになった。次年度応募課題はすでに採択されたが、使用料が発生することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の施設共用利用の使用料および大学院生(実験協力者)の旅費として使用する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Towards a novel laser-driven method of exotic nuclei extraction-acceleration for fundamental physics and technology2016
Author(s)
M. Nishiuchi, H. Sakaki, T. Zh. Esirkepov, K. Nishio, T. A. Pikuz, A. Ya. Faenov, I. Yu. Skobelev, R. Orlandi, A.S. Pirozhkov, A. Sagisaka, K. Ogura, M. Kanasaki, H. Kiriyama, Y. Fukuda, H. Koura, M. Kando, T. Yamauchi, Y. Watanabe, S.V. Bulanov, K. Kondo, K. Imai, and S. Nagamiya
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Journal Title
Plasma Physics Reports
Volume: 42
Pages: 327-337
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 超高強度高コントラストレーザーJ-KAREN-Pシステムによるレーザープラズマ相互作用およびイオン加速2017
Author(s)
西内満美子, 桐山博光, ピロジコフアレキサンダー, 榊泰直, ドーバーニコラス, 匂坂明人, 近藤康太郎, 福田祐仁, 小倉浩一, 西谷勁太, 宮原 巧, 渡辺幸信, マリアアルキモバ, ファエノフアナトリー, ピクツタチアナ, 神門正城, 近藤 公伯
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-18 – 2017-03-18
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[Presentation] J-KAREN-Pにおける高精度な荷電粒子計測について2017
Author(s)
榊 泰直, 西内 満美子, ドーバー ニコラスピーター, 近藤 康太郎, 福田 祐仁, 桐山 博光, 西谷 勁太, 宮原 巧, ピロジコフ アレキサンダー, 匂坂 明人, 小倉 浩一, アルキモバ マリヤ, ファエノフ アナトリー, ピクツ タチアナ, 渡辺 幸信, 神門 正城, 近藤 公伯
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-18 – 2017-03-18
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[Presentation] 超高強度レーザーJ-KAREN-Pによるイオン加速実験のリアルタイムレーザービームモニターの構築2017
Author(s)
近藤 康太郎, 西内 満美子, 桐山 博光, ピロジコフ アレキサンダー, 榊 泰直, ドーバー ニコラスピーター, 匂坂 明人, 福田 祐仁, 小倉 浩一, 西谷 勁太, 宮原 巧, 渡辺 幸信, アルキモバ マリヤ, ファエノフ アナトリー, ピクツ タチアナ, 神門 正城, 近藤 公伯
Organizer
日本物理学会
Place of Presentation
大阪大学豊中キャンパス
Year and Date
2017-03-18 – 2017-03-18