2015 Fiscal Year Research-status Report
エクサスケールコンピュータへむけた高速高次精度・非構造流体解析ソルバーの技術確立
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15K13420
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Research Institution | Japan Aerospace EXploration Agency |
Principal Investigator |
野々村 拓 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 助教 (60547967)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芳賀 臣紀 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 研究開発部門, 研究員 (30646930)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 非構造格子高次精度解析手法 / 圧縮性流体 / 乱流 / シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はエクサスケールにおける高速高解像度の圧縮性乱流ソルバーを実現するため流束再構築法をベースに高速高次精度非構造圧縮性流体ソルバーの構築に向けた技術基盤を確立することが目的であり,アルゴリズムの観点では1)曲線座標の取り扱いを可能にする方法の確立および2)安定化のための2乗量保存法の確立を目指し,計算コードの観点で3)計算コードの高速化のチューニングの方向性を示すことを狙った.本年度はまず,最初に曲線座標移動変形格子への適用を行った.座標変換に用いるメトリック,ヤコビアンの新たな評価を提案・実装し,その効果を確かめた.一様流が保持できることおよび保存量が保存されることを確認した.この成果は論文にまとめており,学会誌投稿,掲載決定となった.次に,数値粘性を減らした安定なスキームの実装に向け,分割型の実装を提案に研究を進めた.まずはこれまで差分法でお使われてきた方法を精査した.その上で,安定化のための分割型の実装,それを利用した場合の保存量の保存,2乗量の保存を検討した.解の選点にガウス点,ガウスロバット点を選んだ場合をそれぞれ検討し,ガウスロバット点では分割型でも保存量保存ができることを示し,ガウス点では実装を工夫することで保存量保存が可能であることを証明した.付け加えてガウスロバット点かつ修正関数をg2に選ぶことで,少なくともセル内では2乗量保存ができることを示した.安定化したスキームを,テイラーグリーン渦の問題に適用し,従来型の保存型スキームでは発散する問題を,分割型の16次精度までの超高次精度スキームで適用し安定に解けることを確認した.さらに高速な数値解析の実現に向けてチューニングを開始した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究では高速高次精度非構造圧縮性流体ソルバーの構築に向けた技術基盤を確立することが目的でありアルゴリズムの観点では1)曲線座標の取り扱いを可能にする方法の確立および2)安定化のための2乗量保存法の確立を目指しているが,1)に関しては今年度で成功しており,2)に関してもモデル問題での適用まで終了し,予定のアルゴリズム開発項目のほとんどを終えている.具体的にはまず,曲線座標移動変形格子での一様流保持および保存量保存を可能にするスキームを提案した.これにより,高次精度にした場合に物体形状を正確に表現するためにセルの形状を曲線で表した際に生ずる誤差を大幅に低減させることに成功した.この成果は学会誌投稿をし,掲載決定となっている.次に,分割型の保存量保存特性,2乗量保存特性に関する議論を進め,これらを満たすために必要な条件を明らかにした.明らかにした条件を満たすスキームが安定であることを乱流の基本問題で検証し,従来型の保存型では全く計算できなかった問題を16次精度の超高次精度で解析可能であることを示した.こちらも価値のある成果で,次年度以降積極的に学会発表,論文投稿を行う予定である.最後に次年度以降本格的に進める3)チューニングに向け,検討を進めることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度に得られた安定な分割型のスキームに関する成果は非常にインパクトがあると考えており,平成28年度には,国際学会発表,論文投稿を通じて公表していくことが重要であると考えている.この成果公表に加えて,平成27年度に作成したスキームを実用問題へ適用し,その適用可能性を調べていく.うまくいかなかった場合は,境界条件の与え方,歪んだ格子への適用に問題があると考えられるため,これらの要素を切り分け,実用問題でも安定な方法を提案していく.さらに,チューニングに関しては,上記安定なスキームをベースとして,実用問題への適用を進める.
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Causes of Carryover |
平成27年度に非常に良い成果が得られる見込みがあったため,平成28年度に成果公表を大々的に行うべきと判断し成果公表(国際学会発表,論文投稿)のために予算を残した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に得られた成果を積極的に公表(国際学会発表,論文投稿)する.また,チューニングのために,ワークステーションの購入を,実用計算で得られた計算データの保存のためにストレージの購入を考えている
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Research Products
(4 results)