2017 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13429
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
尾角 正人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (70221843)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 量子群 / 四面体方程式 / マルコフ過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は2次元格子模型の可解性を保証するヤン・バクスター方程式の3次元版類似である四面体方程式を量子群の表現論と関連づけて研究することである。今年度は主に二つの研究を行った。 一つ目は、研究協力者の国場、Sergeev と2015年に行った研究を発展させたものである。そこでは四面体方程式の解の簡約の研究から、我々が一般化量子群と呼んだホップ代数の表現を得たのであるが、A型の場合にこの表現をもとにフュージョン構成法によって新しい表現を構成した。この表現は代数から定まるある条件を満たす2つの正整数の組によってパラメトライズされる。また Benkart-Kang-柏原によるA型量子スーパー代数の表現の結晶基底の構成を参考にして、我々の場合にも結晶基底の存在を示し、組合せ論的構造を解明した。最後に、組合せ論的R行列やエネルギー関数を求める組合せ論的規則を求めた。 二つ目は研究目的からはやや外れた話題ではあるが、研究代表者が長年取り組んできた量子アフィン代数の表現論の組合せ論的側面に関する研究である。すべてのアフィンリー環に付随してX=M予想という予想があり、これは Kirillov-Reshetikhin 結晶のテンソル積内の最高ウェイト元(パス)と艤装配位という組合せ論的対象の間のウェイトおよび統計量を保存する全単射の存在を示唆している。このような全単射の存在は、A型やD型においてはそれぞれ Kirillov-Schilling-Shimozono (2002年), 尾角-坂本-Schilling-Scrimshaw (2017年)によって証明されていたが、今回すべての非例外型アフィンリー環に対して証明することに成功した。鍵となったのは尾角-Schilling-Shimozono によって2003年に導入された virtual crystal という手法である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は学内業務が忙しかったこともあり、「研究実績の概要」欄に書いた一つ目の研究をB,C,D型へ進めることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の理由で研究期間を1年間延長した。研究協力者のソウル国立大学 Jae-Hoon Kwon 教授を訪問するか大阪へ招聘するかして集中的に議論し、B,C ,D型の一般化量子群の結晶基底に関する研究を進展させる。
|
Causes of Carryover |
研究代表者、Kwon 教授ともにそれぞれの学内業務での多忙により、研究が十分に進展しなかった。平成30年度早々に実際に会って研究打合せをしたい。そのための海外旅費に主に使用する。
|
Research Products
(7 results)