2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 俊丈 東京大学, 大学院数理科学研究科, 教授 (80144111)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 代数曲面 / モーデル・ヴェイユ格子 / 定曲率曲面 / 極限集合 / 離散幾何学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,位相幾何学における離散群,定曲率曲面,代数曲面などの研究対象に対して,それらを可視化し,実際に3次元の幾何学模型を制作する技術とそのための基礎理論を開発することを目的とする.離散データをSTLファイルなどの形式に変換して3Dプリンターで出力する手法は,現在では広く行われているが,本研究は,金属を削ることにより極めて精度の高い幾何学模型を制作すること,離散群の極限集合など,これまでは模型として実現が困難であった対象について,クリスタルガラスの中にレーザー光でプロットする手法を確立することなど,新しい技術を開発することを目的とする.また,離散的点データから,曲面のガウス曲率,平均局率などを計算する離散幾何学の基礎理論を構築することを目指している.研究者代表者がヤマダ精機と共同で取り組んできた,クレブッシュ3次曲面などの代数曲面の模型の作成の技法に基づいて,塩田徹治氏によるモーデル・ヴェイユ格子の理論から得られる3次曲面とその上の27本の直線について模型の作成のためのデータセットを構成した.このような場合には,曲面がいくつかの多項式で定義されるため,離散点データを得るために,代数方程式を解く必要があり,高精度の模型を作成する適切なデータを構成する技術はまだ確立されておらず,これからの課題である.また,可積分系などに現れる微分方程式の解として得られる曲面についても,精度の高い模型を制作するための適切な離散データの構成の研究を目指している.また,これまでに,4次元クライン群の極限集合を,クリスタルガラスの中にレーザーでプロットすることによって封じ込めて,模型を作成する技術について,試作を行ってきた.このような技術をより高度なものにして,特異点理論や葉層構造などの現代の数学の対象を3次元模型として実現する技術を実現するための基礎的な離散幾何学の理論を確立した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
3次曲面上の27本の直線の模型の作成についての技術的な困難な点の克服が当初の計画よりも順調に進み,実際に模型の作成に成功した.また,離散幾何学の基礎理論の研究についても着実に成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
曲面論のみならず,離散群の極限集合,特異点理論,葉層構造,可積分系における解の挙動など模型として制作する事を目指す.我々のアプローチでは3Dプリンターに見られる積層方式ではなく,金属に実際に刃を当てて削る方法を取っており,ファイル形式には曲面の法線方向のデータを適切に取り込む必要がある.また,離散群の極限集合などの対象については,クリスタルガラスの中にレーザー光でプロットする手法を開発中であり,4次元クライン群の極限集合の3次元模型について,これまでに試作を行ってきた.本研究では,3Dプリンターなどでは表現できないような対象も含めて,より精度の高い3次元実体模型の制作のための技術を開発することを目的とする.
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