2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13437
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 達郎 京都大学, 数理解析研究所, 助教 (00738859)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 非自明な平坦接続 / Chern-Simons摂動論 / Morse homotopy |
Outline of Annual Research Achievements |
実施計画に従い,(1)「平坦接続のMorse homotopyの完成」,および(2)「平坦接続のChern-Simons摂動論との比較」について平行して研究を進めた.また,(3)Chern-Simons摂動論において重要な役割を果たすトレース写像について,その一般化を研究した. (1)と(2)の研究の遂行のためには,研究計画でも述べたとおり,Chern-Simons摂動論に関わるいくつかの制限を取り払い,より一般的な状況下で不変量を構成することが有効と考えられる.具体的には(あ)3次元多様体の上に補助的に用意する構造の制限(い)不変量を作る際に用いるpropagatorとよばれるある微分形式に課せられる制限,の2つがあげられる.本年度は,(あ)の制限を大幅に緩めた.この結果として(1)の「平坦接続のMorse homotopy」を部分的に完成させ,これと(2)「平坦接続のChern-Simons摂動論」を比較し一致することを確かめた. (3)のトーレスの一般化は,ある特定の場合に成功した.Chern-Simons摂動論は具体的に計算を実行することが一般に難しい.この一般化によって今まで得られていない新たな計算例を得ることが出来た.ただ,特殊な例であり,その意義については慎重に検討する必要がある.トレースにはいまだ制限が多く,今後さらなる一般化に向けた研究が必要である. 本年度の研究成果によって平坦接続のChern-Simons摂動論に関わるいくつかの制約を緩めることに成功した.これは,この研究の目標である「Chern-Simons摂動論の完成」のために,重要な段階である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度の研究計画においては,すでにKontsevichやBott,Cattaneoといった研究者によってすでに構成されている「3次元多様体のとその上の非自明な平坦接続(ただしいくつかの条件を満たす)に対するChern-Simons摂動論」をスタートとし,これを拡張することを予定していた.本年度前半の研究によって,当初想定していた拡張の困難は無事乗り越えることができた.しかし,当初想定していなかった新しい困難があることが判明し,本年度後半はその解決に取り組んだが,いまだ完全には解消していない.したがって当初の研究実施計画にくらべるとその研究成果としては遅れが出ている.
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】で述べたとおり,当初想定していなかった新たな困難が見つかったため,ひきつづきその解決に取り組む.現在までに概ね解決の方針が立っているので,早急に解決し,その後は当初の28年度研究実施計画に従い研究を推進する.
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Causes of Carryover |
当初予定していた研究打ち合わせによる出張のうち1回を次年度に延期したたため.これは研究計画に若干の遅れがあるためである.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度使用するはずであった助成金は5月中に行う出張で使用する予定である.それ以外の助成金は計画通りに使用する予定である.
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