2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of precise radial velocity measurements of stars orbiting around a supermassive black hole, to investigate space-time structure around the black hole
Project/Area Number |
15K13463
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Research Institution | Miyagi University of Education |
Principal Investigator |
西山 正吾 宮城教育大学, 教育学部, 准教授 (20377948)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 天文学 / ブラックホール / 赤外線 / 分光 / 相対性理論 / 星 / ドップラー効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、銀河系の中心にある巨大ブラックホールを周回する星の視線速度をモニター観測し、ブラックホールが作り出す時空を調べることである。特に最近点を通過する2018年の観測を通して、ブラックホールによる一般相対論効果を検出することが、最大の目標であった。 まず私たちの計画は、すばる望遠鏡のインテンシブプログラムに採択された。これは通常のプログラムとは異なり、科学的重要性の高いプログラムに与えられる、特別な観測枠である。最近点を通過する2018年5月を中心に多数の観測時間を得ることができた。ただ、エルニーニョ現象による天候不良と、ハワイ島の火山の噴火により、観測回数が少なくなった上に、データの質も予想よりはるかに悪いものであった。 2018年の早い段階で、自分たちのデータでは明確な結果が出せないことが分かった。そこで私たちは、Keck望遠鏡やGemini望遠鏡を使うアメリカのグループと共同研究を始めた。私たちとアメリカグループのデータを合わせると、より明確な結果が得られると考えた。また異なる望遠鏡を使い、異なるグループが異なる方法でデータ解析を行うことで、観測結果に生じる系統誤差を議論することができる。このような点を考え、共同研究を進めた。 その結果、私たちは巨大ブラックホールによる相対論効果を検出することができた。ブラックホール近傍では、主に横ドップラー効果と重力赤方偏移により、ニュートン重力の予想から視線速度がずれる。私たちはそのずれを5シグマ以上の信頼度で検出することができた。これは、競合していたヨーロッパのグループと合わせて、巨大ブラックホール近傍における重力理論(ニュートン重力か、一般相対論か)を定量的に検証した、世界で初めての研究である。研究成果は学術誌に投稿中であり、レフェリーからの2回目のコメントを待っている段階である。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] The infrared Doppler (IRD) instrument for the Subaru telescope: instrument description and commissioning results2018
Author(s)
T. Kotani, M. Tamura, J. Nishikawa, A. Ueda, M. Kuzuhara, M. Omiya, J. Hashimoto, M. Ishizuka, T. Hirano, H. Suto, T. Kurokawa, T. Kokubo, T. Mori, Y. Tanaka, K. Kashiwagi, M. Konishi, T. Kudo, B. Sato, S. Jacobson, K. W. Hodapp, D. B. Hall, W. Aoki, T. Usuda, S. Nishiyama, et al.
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Journal Title
Proceedings of SPIE
Volume: 10702
Pages: id.107211
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Radial velocity measurements of an orbiting star around Sgr A*2018
Author(s)
S. Nishiyama, H. Saida, Y. Takamori, M. Takahashi, R. Schoedel, F. Najarro, S. Hamano, M. Omiya, M. Tamura, M. Takahashi, H. Gorin, S. Nagatomo, T. Nagata
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Journal Title
Publications of the Astronomical Society of Japan
Volume: 70
Pages: id.74
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Star formation history and metallicity in the Galactic inner bulge revealed by the red giant branch bump2018
Author(s)
F. Nogueras-Lara, R. Schoedel, H. Dong, F. Najarro, A. T. Gallego-Calvente, M. Hilker, E. Gallego-Cano, S. Nishiyama, N. Neumayer, A. Feldmeier-Krause, J. H. V. Girard, S. Cassisi, A. Pietrinferni
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Journal Title
Astronomy & Astrophysics
Volume: 620
Pages: id.A83
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 銀河系中心巨大BHを巡る星S0-2/S2 の研究3:すばる視線速度モニター観測 2018 の解析状況2019
Author(s)
西山正吾, 斉田浩見, 大神隆幸, 孝森洋介, 高橋真聡, R. Schoedel, F. Najarro, 濱野哲史, 五林 遥, 大橋遥介, 小山晃徳, 唐朋央, 雨宮竜登, 岩松篤史, 高橋美月, 大宮正士, 長田哲也, 長友竣, 善光哲哉, 田村元秀, 美濃和陽典
Organizer
日本天文学会春季年会
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[Presentation] 銀河系中心巨大BHを巡る星S2 の研究1:すばる視線速度モニター観測の現状2018
Author(s)
西山正吾, 斉田浩見, 孝森洋介, 高橋真聡, R. Schoedel, F. Najarro, 濱野哲史, 五林遥, 大橋遥介, 小山 晃徳, 唐朋央, 岩松篤史, 高橋美月, 大宮正士, 長田哲也, 長友 竣, 善光哲哉, 田村元秀, 美濃和陽典
Organizer
日本天文学会秋季年会
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[Presentation] IR-TMT と位置天文衛星の距離データを用いたレッドクランプ星の絶対等級 の決定2018
Author(s)
小野里宏樹, 板由房, 森田亮介, 幅崎裕太, 市川隆, 花上拓海, 小宮山貴洋, 岩松篤史, 筒井 寛典, 柳澤顕史, 泉浦秀行, 中田好一, 西山正吾
Organizer
日本天文学会秋季年会
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