2017 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線昼間観測による赤色超巨星の空白期間のない時間変動の調査
Project/Area Number |
15K13465
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
永山 貴宏 鹿児島大学, 理工学域理学系, 准教授 (00533275)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 赤外線天文学 / 明るい天体 / 昼間観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、これまであまり行われてこなかった、近赤外線における昼間天体観測へ挑戦し、特に周期が1年に近い変光星において、連続的な変光データを取得することである。 2016年10月から2017年8月まで、観測に使用する赤外線カメラの故障により、研究が中断していたが、2017年8月からは再開している。 昼間観測を実施した際には、減光フィルターを用いて、観測視野全体を5000分の1まで減光する。これにより、空の明るさだけでなく、星からの光も5000分の1まで減光されるため、通常、視野内で検出できる天体はターゲットとなる明るい天体のみである。明るさの校正は標準星で行うが、昼間環境においても標準星を用いた校正方法、すなわち、エアマス補正式を妥当に求めることができるかを検証した。2017年12月から2018年2月にかけて、観測対象となる天体と、その直前、直後に標準星を観測した。具体的には、標準星のエアマスと見かけの明るさ、カタログ値から、最小自乗法を用いて、エアマス補正式を算出したところ、そのフィッティング誤差は、晴天下の良い条件下であれば0.1等以下となり、夜間と変わらない値を得ることができることを確認した。 また、S CrB、X Hya、RX Booなどを複数回、観測した結果、実際に昼間観測の測光結果が、過去の夜間観測からの外挿曲線に矛盾しないことが確認できた。 一方で、現在は、太陽を見ないための安全上の理由により、太陽が地平高度20度以下の時間帯のみで観測を実施しているため、標準星の数をあまり稼げない問題もあるので、安全に観測時間を拡大する工夫が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2016年夏までは順調に進んだが、2016年10月に天体観測に使用していた赤外線カメラが故障したため、観測が中断した。2017年8月に赤外線カメラが復旧し、観測を再開することはできたが、約10か月、観測データの収集が出来なかったため、遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
観測を再開することができたので、10か月遅れではあるが、当初の予定通り、研究を進めることができる。遅れについては、研究期間を1年間延長することで対応する。 これまでの研究から、観測の手順、注意点、標準星のリストなどは得られているので、今後は、標準星を同様の手法で観測し、一定の測光値を継続的に得られるかの試験をしつつ、実際に変光星、特に周期が1年に近い天体の観測を開始し、夜間観測だけでは埋められないデータ点の収集を行う。
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Causes of Carryover |
2016年10月から、2017年8月まで本研究で使用する赤外線カメラが故障により使用できなかったため、研究を進めることができなかった。研究期間の1年間の延長が認められたので、平成30年度に当初の計画に基づいて、研究を進め、予算についても使用する。
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