2016 Fiscal Year Research-status Report
新星の窒素同位体比で探る太陽系起源・銀河系化学進化
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15K13466
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
河北 秀世 京都産業大学, 理学部, 教授 (70356129)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 彰 京都産業大学, 神山天文台, 研究員 (30582457)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 新星 / 銀河系化学進化 / プレソーラー粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
分子生成を起こした新星V2676 Ophについて、その光球面温度の変化を推定する新しい手法を確立し、論文として出版した(Kawakita et al. 2016, PASJ, 68, 87)。通常の古典新星は可視光極大期には光球表面有効温度が~8000K程度、F型超巨星に似たスペクトルを示すとされてきた。しかし、V2676 Ophでは可視光極大期以降に連続的に光球面温度が減少し、~5000K程度となったところでCNおよびC2分子の吸収バンドが観測されるに至ったことが明らかとなった。その温度減少率から、比較的高温度な光球面温度状態のうちからCO分子が生成されており、その放射冷却によって光球面温度が減少した可能性を論文中では指摘している。 また、同新星のダスト生成以後に実施した中間赤外線分光観測の結果についても、論文として出版している(Kawakita et al. 2017, AJ, 153, 74)。国立天文台Subaru望遠鏡に取り付けた中間赤外線撮像分光器COMICSによって2014年と2015年に実施した観測の結果から、当該新星の原因となった白色矮星がCOタイプであることを示した。これはV2676 Ophがゆっくりとした減光を示すSlow novaの一種であったことと理論的には整合的であった。しかし、COタイプの白色矮星における新星爆発であったとすると、既に本研究で出版した成果[Kawakita et al. (2015), PASJ, 67, 17]にある炭素および窒素の同位体比については、既存の新星爆発・元素合成モデルでは十分に説明できないことも判明した。 更に、新しい分子生成新星の発見を目指して構築した国際観測ネットワーク成果として、インドネシア・バンドン工科大学・ボッシャ天文台における新星観測の成果を出版した。現在のところ新たな分子生成新星の確認はできていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
過去に得られている観測データについては着実にデータの解析が進み、学術論文として出版に至っている。ただし、新しい分子生成新星の発見については、全国的な悪天候に阻まれ、予定通りには進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
国際的な観測ネットワークの構築は順調であり、引き続き、観測ネットワークを活用した新しい分子生成新星の発見に努めるとともに、過去の同種の新星についての調査を進める。
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Research Products
(3 results)