2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
15K13469
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
江澤 元 国立天文台, チリ観測所, 助教 (60321585)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松尾 宏 国立天文台, 先端技術センター, 准教授 (90192749)
浮辺 雅宏 国立研究開発法人産業技術総合研究所, ナノエレクトロニクス研究部門, グループ長 (00344226)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 電波天文学 / テラヘルツ波天文観測 / 光子計数技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、テラヘルツ波帯において、観測対象より到来する光子数の揺らぎを統計的に解析することでその輻射源の物理状態を解明できる可能性に着目し、テラヘルツ波帯の天文観測手法に「光子統計」という新しい概念を導入することを目指したものである。そのために、高速の動作が期待される超伝導トンネル接合を用いた新たな検出器システムを構築し、この新たな観測手法を実験室で検証することを目標としている。 本年度は、前年度に引き続きテラヘルツ光子検出システムの開発を中心に研究を推進した。検出性能を決める主要技術である低リークの超伝導トンネル接合素子については、リーク電流7 pAを達成した素子のデザインを基本に、目標スペックを達成すべく開発を進めた。特に接合のサイズを小さくしたデバイスを新たに製作し、リーク電流など基本性能を評価した。検出システムを構成する要素技術として、超伝導素子および初段の読み出し回路を0.8 K以下に冷却する冷凍器の開発も推進した。冷却能力を確保するため、ヘリウム4を用いた小型の吸着型冷凍器を開発し、冷却性能を実験的に評価した。その結果、最低到達温度0.8 K以下、保持時間約5時間の達成を確認した。テラヘルツ光子計数実験のためには、検出器に入射する光子数を制限する必要がある。そのために、狭帯域フィルターの製作など、極低温下での光学試験のセットアップ開発も推進した。 実験室での開発研究と並行して、光子計数技術とその天文観測への応用についての検討を引き続き推進した。開発研究も含めて全体の成果をエディンバラで開催されたSPIE Astronomical Telescopes + Instrumentationや日本天文学会年会などで発表し、国内外の関連の研究者と議論した。さらに、光子計数技術により可能になる新たな観測手法について、理論天文の研究者との議論を進め、既存の電波望遠鏡を用いた実証実験も推進した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
テラヘルツ光子計数技術の実験室実証を目指して、必要なセットアップを開発している。検出器の要である超伝導トンネル接合については、テラヘルツ光子計数に必要となるリーク電流の低い素子の実現を目指して引き続き開発を推進した。本年度は特に接合面積を小さくすることで低リーク電流の実現を目指して接合素子の開発および評価を実施したが、その過程で、特に微小接合の評価をより慎重に進める必要性が明らかになった。また、動作が確立していた接合素子評価のセットアップにおいて、ヘリウムが漏れる故障が発生するなど、予期せぬ重大なトラブルにも見舞われたが、別のクライオスタットに再構築するなどして、評価試験を再開することができた。進捗がやや遅れることとなったが、光子計数実験を進める上での課題が明確になり、光子計数実験のシステム構築の見通しを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、テラヘルツ波帯における光子数の揺らぎを統計的に評価することで光源の物理状態を解明できる可能性に着目し、光子統計という新たな概念を天文観測手法に導入することを目指している。平成29年度は、テラヘルツ光に対する光子計数型検出器の応答を確認し、光子計数技術の実証を目指す。このために、平成27-28年度に引き続き、実証実験の鍵となる要素技術である、低リーク電流の超伝導接合素子の評価を重点的に推進する。またこれと並行してテラヘルツ光源の構築や狭帯域フィルターを製作にも注力し、光学実験の環境を確立する。データ収集系の整備も進めるが、実験の進捗によっては基本的な光学実験に集中する可能性もある。天文観測への応用については、既存の電波望遠鏡を用いた実証実験を継続するとともに、関連の研究者と引き続き議論する。
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Causes of Carryover |
本研究において、テラヘルツ光子計数技術の開拓の大きな技術要素である低リークの超伝導トンネル接合の開発および評価を進めているが、その進捗にともない、特に微小接合の評価をより慎重に進める必要が判明した。また評価システムの故障も発生し、その再構築に時間を要した。そこで、光学試験など平成28年度に予定していた実験研究の一部を次年度に延期することが適切であると判断し、平成29年度に引き続き本研究課題を遂行することとした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用分は、光子計数実験を推進するための光学部品、電子部品、電子機器等の購入、および研究成果発表の経費等に用いることを予定している。補助事業期間を延長したことによる若干の変更はあるものの、基本的には、平成28年度に予定していた計画の一部を平成29年度に延期するものである。
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Research Products
(13 results)
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[Presentation] Feasibility Studies on Photon Counting Terahertz Interferometry2017
Author(s)
Matsuo, H., Ezawa, H., Kiuchi, H., Honma, M., Murata, Y.
Organizer
The 28th International Symposium on Space Terahertz Technology
Place of Presentation
University of Cologne, Cologne, Germany
Year and Date
2017-03-13 – 2017-03-15
Int'l Joint Research
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[Presentation] テラヘルツ強度干渉計の提案2017
Author(s)
松尾 宏, 江澤 元, 木内 等, 本間希樹, 村田泰宏
Organizer
第17回 宇宙科学シンポジウム
Place of Presentation
宇宙科学研究所 (神奈川県相模原市)
Year and Date
2017-01-05 – 2017-01-06
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[Presentation] Developments towards the terahertz intensity interferometry2016
Author(s)
Ezawa, H., Matsuo, H., Ukibe, M., Fujii, G., Shiki, S.
Organizer
SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation
Place of Presentation
Edinburgh International Conference Center, Ediburgh, Scotland, UK
Year and Date
2016-06-26 – 2016-07-01
Int'l Joint Research
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[Presentation] Terahertz intensity interferometry for milli-arcsecond resolution2016
Author(s)
Matsuo, H., Ezawa, H., Kiuchi, H., Honma, M., Murata, Y.
Organizer
SPIE Astronomical Telescopes + Instrumentation
Place of Presentation
Edinburgh International Conference Center, Ediburgh, Scotland, UK
Year and Date
2016-06-26 – 2016-07-01
Int'l Joint Research
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[Presentation] Terahertz Intensity Interferometry for Very High Angular Resolution Observations2016
Author(s)
Matsuo, H., Ezawa, H., Honma, M., Kiuchi, H., Murata, Y.
Organizer
The 27th International Symposium on Space Terahertz Technology
Place of Presentation
Jinling Hotel, Nanjing, China
Year and Date
2016-04-12 – 2016-04-15
Int'l Joint Research