2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of direction sensitive dark matter detectors using anisotropic inorganic crystal scintillators
Project/Area Number |
15K13478
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90402768)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉川 彰 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (50292264)
黒澤 俊介 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 准教授 (80613637)
|
Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 暗黒物質 / シンチレーター / 素粒子実験 / 宇宙線 / 方向感度 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度において、ZnWO4シンチレータの暗黒物質に対する入射方向感度の有無を検証するべく、中性子を用いたクエンチングファクターの測定を実施した。クエンチングファクターは、結晶への入射エネルギーと実際の発光量の比である。 まず、改めて昨年度同様ロシアニコラエフ研究所でZnWO4結晶の製作を依頼した。このロシア結晶は、イタリアDAMAグループ(ADAMO)が40%程度の異方性があると報告したものと同一のインゴットで製作した結晶から光学軸になるべく垂直になるように切り出したものである。2㎝角の立方体にカットした結晶を東北大学の金属材料研究所にて5軸X線回折計ATX-G(RIGAKU)を用いて結晶面を同定した。この新しい結晶に241AmをZnWO4結晶の各面から照射し、結晶の光学軸に垂直な面(B 面) と、もう一面(A 面) の2 面について5.5MeV 線に対するクエンチングファクターを求め、その異方性を測定した。B面、A面のクエンチングファクターの値はそれぞれ0.189±0.005、0.162±0.005 となり、14.1% の異方性が確認できた。 そして、産業技術総合研究所の放射能中性子標準研究グループの4MV ペレトロン加速器による単色中性子ビームを用いた照射実験を行なった。中心値0.885MeV のほぼ単色中性子ビームをZnWO4 結晶のB 面・A 面に照射し、中性子をZnWO4 結晶の原子核により散乱させた。この測定によりZnWO4結晶内の酸素原子核の150keV 原子核反跳に対する各面のクエンチングファクターを測定した。得られたB 面、A 面それぞれのクエンチングファクターは0.150±0.003、0.129±0.003 であり、14.0% の異方性が存在することを確認した。 以上の研究により、ZnWO4結晶が暗黒物質の方向感度検出器であることを証明した。
|
Research Products
(9 results)