2016 Fiscal Year Research-status Report
次世代電子陽子コライダーにおけるヒッグス粒子の研究
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15K13481
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
久世 正弘 東京工業大学, 理学院, 教授 (00225153)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 素粒子実験 / 加速器 / ヒッグス粒子 / 電子陽子衝突 / 陽子構造 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究2年目にあたる本年度は、将来の電子陽子衝突実験におけるヒッグス物理研究のうち、従来から進めてきたHbb結合定数の精密測定に加え、前年度から研究を開始したヒッグスの不可視粒子モードへの崩壊に力を入れて研究を行った。大学院生を2度にわたりCERNに派遣し、現地の研究者とも議論し隔週のテレビ会議で進捗報告・議論を行った。機械学習アルゴリズムの一つ、BDTを用いることによって感度が若干向上することもわかった。結果は日本物理学会の秋季大会で報告した他、1月にCERNで行われたFCC物理ワークショップでも発表された。FCCワークショップではLHeCよりさらに将来のFuture Circular Collider(周長100kmのリングを建設し、陽子ビームを50TeVまで加速する計画)を用いた電子陽子散乱実験(FCC-he)まで研究のスコープを広げた結果を発表した。国際ワーキンググループでは、その他にHcc(チャームクォーク)結合定数の測定、Higgsが2つの新粒子に崩壊しさらに4つのbクォークに崩壊するモード、あるいはFCC-heにおけるダブルヒッグス生成など多岐にわたる研究が進められている。11月に米国SLACで行われたHiggs結合定数測定の国際ワークショップでも共同研究者によって結果が発表された。また、4月に行われたDIS国際会議に研究協力者を派遣し、将来の深非弾性散乱実験計画の最新動向について情報収集を行った。昨年度まではリバプール大学、南アフリカWits大学、東工大の3者で行っていたTV会議にも、トルコ・中国・ドイツからの研究者が加わるようになりさらに国際性が増した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新しく着手したヒッグスの不可視崩壊モードの研究が大きく進展し、国際ワーキンググループで多岐にわたるチャンネルで研究が進展した。さらにLHC(7TeV陽子ビーム)と電子加速器の衝突を行うLHeC計画のみならず、さらに将来に計画があるFCCの50TeV陽子ビームと電子を衝突させるFCC-heに研究の幅を広げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
所定の2年が経過したが、H29年度にもDIS国際会議やLHeCワークショップが開催されるため、残りの研究経費を用いて海外渡航を行い議論を行う。国際ワーキンググループではCERN所長に提出する技術レポートの執筆に入るため、その作業に加わる。
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Causes of Carryover |
平成29年2月に予定されていた電子陽子衝突実験に関する国際会議が、平成29年6月(暫定)に延期されたため、助成金を次年度に使用して参加することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各種国際会議での発表、CERNでの研究打ち合わせ等の旅費を主な使用用途とする。
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