2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a method for reconstruction of cosmic-ray variations using terrestrial carbonate deposits
Project/Area Number |
15K13488
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Research Institution | Musashino Art University |
Principal Investigator |
宮原 ひろ子 武蔵野美術大学, 造形学部, 准教授 (00532681)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 宇宙線 / 宇宙線生成核種 / ベリリウム10 / 太陽活動 / 炭酸塩堆積物 |
Outline of Annual Research Achievements |
過去の宇宙線強度の変動は、一般的に、アイスコアに含まれるベリリウム10や、樹木年輪に含まれる炭素14などの宇宙線生成核種の分析によって復元される。しかしながら、アイスコアによって得られる時系列データには、年代誤差が伴うほか、古い年代ほど時間分解能が下がるという問題点がある。一方、樹木年輪を用いる場合は、1年の分解能でのデータの取得が可能だが、炭素14の半減期が5730年であるため、約6万年前までの分析が限界である。 そこで本研究では、古い年代でも厳密な1年分解能でデータを取得できる手法を開拓すべく、炭酸塩堆積物(トゥファ堆積物およびトラバーチン堆積物)に含まれるベリリウム10の基礎分析を行った。トラバーチン堆積物は、トゥファ堆積物に比べてベリリウム10含有量が非常に低いが、明確な年層を持っている。本研究では両者の濃度特性、トラバーチン堆積物の雨季層および乾季層ごとの濃度、また経年変化の分析を行った。あわせて、原子吸光によりベリリウム9含有量の分析を行い、炭酸塩の堆積速度の補正の妥当性を検証した。また、微量金属元素の分析を行った。分析の結果、堆積速度の補正を行い、さらに微量金属元素による補正を行うことにより、中性子モニターで測定された宇宙線変動と矛盾しない変動が、トラバーチン堆積物の乾季層のベリリウム10から得られる可能性が示唆された。
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