2015 Fiscal Year Research-status Report
イオンモデルに基づいた新奇なナトリウムイオン電池材料の開発
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15K13513
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 航 筑波大学, 数理物質系, 助教 (70434313)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 層状酸化物 / ナトリウムイオン二次電池 / 起電力 / 圧力効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、(1)イオンモデルによって予測される高電位材料を水熱合成法など化学的手法を駆使して合成すること、(2)X線吸収分光測定によって、イオンモデルが予測する電子状態を検証することにあります。
平成27年度には、正と負の化学圧力効果が期待されるAl3+およびMg2+の元素置換をNaxMO2(M:Cr, Mn, Fe, Co)に対して行いました。その結果、Na0.7Mn0.8Al0.2およびNa0.7Mn0.8Mg0.2O2の合成に成功しました。電気化学計測を行ったところ、置換試料では無置換試料に比べてサイクル特性の顕著な向上が見られました。またAl置換試料においてはわずかながら起電力の増大が観測されました。
充放電に伴い、NaMO2の電子状態がどのように変化するかは電池特性を考察する際に最も基本的な情報となります。本年度はas-grown試料であるNa0.7MnO2, Na0.7Mn0.8Al0.2およびNa0.7Mn0.8Mg0.2O2のXAFS(x-ray absorption fine structure)測定を高エネルギー加速器研究機構フォトンファクトリーにて行いました。その結果、MnK端のエネルギーシフトは無く、Mnの価数は無置換試料と変化が無いこと、EXAFS解析によりMn-O結合長も無置換試料と変化がないことがわかりました。このことはMnの電子状態に変化がないことを示唆しています。本成果は2015年7月と9月に行われたXAFS討論会、および応用物理学会で発表されました。また元素置換が活物質そのものを変化させてしまう影響を取り除くために、ピストンシリンダーを用い、静水圧下で起電力を測定する系の構築を行いました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究計画通りにMg2+、Al3+置換した試料の合成に成功し、同試料の電子状態をXAFS測定により明らかにすることができました。また化学圧力効果との比較のために、ピストン型シリンダーを用いて静水圧下の起電力測定も行っており、当初以上の成果が出つつあります。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は引き続き元素置換試料の合成を行うとともに、XAFS測定を行い局所構造と電子状態を明らかにします。また放射光を用いた圧力下構造解析をNaMO2(M=Cr, Mn, Fe, Co)に対して行います。イオンモデルに基づいて、得られた結晶構造が起電力に与える影響を調査します。
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Causes of Carryover |
近郊旅費は定額であるにも関わらず、日当が付くと勘違いしたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験に必要な試料の購入のために使用します。
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Research Products
(13 results)