2016 Fiscal Year Research-status Report
マヨラナフェルミオン描像に基づいた量子スピン系に対する数値的研究
Project/Area Number |
15K13533
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
求 幸年 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40323274)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
那須 譲治 東京工業大学, 理学院, 助教 (40610639)
宇田川 将文 学習院大学, 理学部, 准教授 (80431790)
加藤 康之 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (50708534)
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Project Period (FY) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | スピン液体 / 磁性 / 数値計算 / 強相関系 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の進捗状況をふまえて研究を推進し、以下の研究成果を得た。(1) 計算プログラムの改良:スピンダイナミクスの計算のために前年度に開発した計算手法を改良し、プログラムの効率化・高速化と計算精度の向上を行った。具体的には、連続時間量子モンテカルロ法におけるアップデートの効率化と、実振動数への解析接続に用いている最大エントロピー法の実行方法の見直しを行った。(2) スピンダイナミクスの新しい計算手法の開発:(1)で改良した手法と、マヨラナフェルミオン表示を用いた実空間量子モンテカルロ法を組み合わせることで、新しいスピンダイナミクスの計算手法を開発した。これは、前年度に開発したクラスター動的平均場法と連続時間量子モンテカルロ法を組み合わせた手法が、平均場近似による人工的な相転移をもたらしてしまうという問題点を克服し、低温を含む全温度領域をカバーできる手法となっている。現在、この新しい手法を適用して、2次元・3次元の両方の場合について、最低温までのスピンダイナミクスの温度変化を計算している。(3) 磁気ラマン散乱の計算:マヨラナフェルミオンの特徴が直接現れる物理量として磁気ラマン散乱に着目し、量子モンテカルロ法を用いた有限温度の計算を行った。計算結果と実験結果の温度依存性を定量的に比較することで、現実の物質でマヨラナフェルミオンが捉えられている可能性を論じた。ここでは、当初より予定していた通り、国外の研究協力者との国際共同研究を行なった。これらの他にも、伝導性パイロクロア酸化物におけるリング構造を形成する磁気モノポールの集団励起の発見や、第二種ワイル半金属のカイラル異常、2次元的カイラルp波超伝導体の渦糸相におけるマヨラナゼロモードとワイル半金属状態の関係を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究内容について着実に成果が得られているだけでなく、前年度の成果をさらに発展させた新しいスピンダイナミクスの計算手法の開発に成功したため(「研究実績の概要の(2))。また、新しい物理量として磁気ラマン散乱に着目し、実験結果との良い一致を示すことで、現実の物質中にマヨラナフェルミオンが存在する証拠を提示した成果は、Nature Physics誌に掲載され、世界的な注目を集めている(「研究実績の概要の(3))。さらに、研究計画の副産物として、周辺の物理に関する新しい知見も得た。これらの研究成果に関して、学術論文を発表するだけでなく、国内外の学会や国際会議等において精力的な成果発表を行い、そこでの参加者との積極的な議論を通じて、さらに新しい研究展開にもつながっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの順調な研究の進捗を踏まえて、予定通り平成29年度の研究計画を遂行する。その一部は前倒して得ることができているため、さらに野心的な研究展開を探る。また、学会や国際会議等の参加者との議論を通じてさらに新しい問題も着想しているため、それらについても発展・進化を図る。最終年度として、これまでの研究をとりまとめる。
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Causes of Carryover |
研究分担者が繰り越したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に研究分担者が使用する。
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[Presentation] The realization of Majorana fermions in Kitaev Quantum Spin Lattice2017
Author(s)
S.-H. Do, S.-Y. Park, J. Yoshitake, J. Nasu, Y. Motome, Y. S. Kwon, D. T. Adroja, D. Voneshen, J.-H. Park, K.-Y. Choi, and S. Ji
Organizer
American Physical Society March meeting 2017
Place of Presentation
アメリカ、ニューオーリンズ
Year and Date
2017-03-13 – 2017-03-17
Int'l Joint Research
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